上司と部下が行う「2Wayコミュニケーション」
菊地 施策について言えば、先ほどお話しした「キャリア面談」と「キャリア研修」のほかに、上司と部下による定期的な「2Wayコミュニケーション」があります。これは、一般的に言うところの1on1。そこで、上司は部下と、短期的な仕事のアサインの話や中・長期的なキャリア観についての擦り合わせなどを行います。「キャリア面談」や「キャリア研修」は、「2Wayコミュニケーション」と共に従業員のキャリア開発を相互に補完する位置づけと言えます。
永田 「2Wayコミュニケーション」は年5回程度の実施とのことですが、どのようなタイミングで行っているのですか?
菊地 会社の方針と本人が目指したい方向の擦り合わせ、いわゆるMBO的な目標設定を行うのが毎年4月頃から始まり、その後、6月から3月にかけて評価のフィードバックや仕事の実績を振り返るための「2Wayコミュニケーション」を行っています。
永田 期初の目標設定のときは、上司から部下にどのような話をされるのですか?
内田 短期的な「目の前の仕事の話」と「将来的なキャリア」といった中・長期的な話です。具体的には、「今期はどのような仕事に取り組むのか?」という役割設定やその仕事への取り組み方、「どのようなことを学んでいきたいのか?」という学びの方向性、さらにその先の「キャリアの実現に向けてどうしたらいいのか?」ということを擦り合わせていきます。
永田 「2Wayコミュニケーション」のツールとして、社員一人ひとりが記述したことに上司がコメントを返していく「帳票」がある、と……。
山崎 「帳票」は以前からあったのですが、今回、キャリアという観点から大幅に見直しをしました。これまでは、「当年度」にチャレンジしたいことや現時点での自分自身の強みや弱みなど「いま」を中心に記入するものでしたが、見直し後は、より「将来」にもフォーカスした内容になっています。「何年後、自分がどのような能力を身につけて、どのような仕事をしたいか?」「今後、自己啓発として、何を学んでいきたいか?」「ライフプランをどのように考えるか?」といったことを記入するものです。ほかにも、仕事上の価値観や成長の実感など、自分にしっかり向き合うことを促進する内容としており、自己理解を深めキャリアの実現や自己成長に向けた手段となるようにしました。