「部下の成長こそが価値となる」という考えが大切

永田 「2Wayコミュニケーション」などを通して、部下のキャリア自律の4ステップを上司が支援している一方で、「上司への支援も必要」と考えられているとのこと――具体的にはどのようなことをされているのですか?

山崎 「上司が部下のキャリアにどう寄り添うべきかを悩んでいる」という実態が分かり、そうした悩みを抱える上司(管理職中心)に対する研修を、2022年12月から23年1月にかけて、100名強の方を対象にトライアル実施しました。

内田 内容は、「部下がキャリアについて悩んでいる際、上司はどういうコミュニケーションをとるべきか」をロールプレイで確認するといったものです。リアルな「社内事例」を何パターンも作って、10分の面談をロールプレイで行うというスタイルです。他人のロールプレイを見ていると、「こういう関わり方をするのだな」という発見があり、お互いの学びになることが分かりました。

永田 参加されたマネジメント層の変化はありましたか?

内田 私たち運営側の気づきとして、皆さん、「2Wayコミュニケーション」自体はかなり経験を積んできているのですが、「(部下の)キャリアに寄り添う」という観点で言えば、まだまだ学ぶことはあるといった印象でした。研修では、マネジメント層に向けて、「自律的なキャリア形成」が求められる社内外の環境変化や意義、会社として「自律的なキャリア」形成に取り組む必要性についてもお話ししました。その結果、自分自身の過ごしてきたキャリア観と現状が異なっており、上司自身がキャリアに関する考え方を改める必要性の理解が深まりました。

 具体的には、部下との2Wayコミュニケーションにおいて、部下のキャリア希望に寄り添い対話を深めることや、「キャリア面談」「キャリア研修」への参加を促す行動をとる意思表明がありました。