性加害問題で記者会見するジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子氏と新社長に就任した東山紀之氏性加害問題で記者会見するジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子氏(右)と新社長に就任した東山紀之氏(左) Photo:AFP=JIJI

ジャニーズ事務所は性加害の事実を認め、その結果、ジャニーズ事務所とのCM打ち切りを決めた企業が相次いでいる。ジャニーズ事務所はどうすべきだったのか。ジャーナリストの池上彰氏と増田ユリヤ氏が報道番組の在り方も含め、対談した。(ジャーナリスト 池上彰、増田ユリヤ 構成/梶原麻衣子)

「ギャラは全てタレントに」
ジャニーズ事務所の対応は正しいのか

増田 英国の公共放送局・BBCが報じたジャニーズ事務所を巡る問題で、各メディアが対応を迫られています。

池上 創業者であるジャニー喜多川氏の性加害問題が改めて問われ、9月7日の会見で性加害の事実を認め、社長が交代することなどを公表しました。その上で、各メディアや企業は「所属タレントの番組やCM出演を見合わせるべきかどうか」で揺れています。

 事務所には責任がありますが、打ち切りによって所属タレントの仕事を奪うのはいいのか。そういう指摘が出てきたのを受け、ジャニーズ事務所は「ギャラは事務所が取らず、全てタレントに支払う」と会見後に発表しています。

増田 会社のトップや社員の一部の不祥事で、社員全員が不利益を被るという事例はこれまでにもありました。今なら中古車販売大手のビッグモーターもそうで、上層部の指示による保険金の水増し請求が発覚し、社員は苦境に立たされています。

池上 ビッグモーターについては不祥事が発覚してから3カ月のうちに1000人が退職した、という報道もありました。