写真・水道管から漏れる水写真はイメージです Photo:PIXTA

厚生労働省は将来、過疎地への配水をタンク車で行う可能性を示唆した。飲める安全な水が水道をひねればいくらでも出てくる。そんな日本の当たり前が崩壊しようとしている。なぜこのような事態になってしまったのか。日本の水道の現状と打開策を探る。(ライター・編集者 井澤 梓)

厚労省が将来の選択肢として
過疎地の「タンク車給水」を提示

 水道から水が出なくなる――。

 7月に厚生労働省は、過疎地の水道を維持せず、将来的にタンク車による給水とする選択肢を示唆した。

 理由は水道の維持費用だ。人口減少が止まらない小規模な集落では、税収の減少を免れない。加えて水の需要も減少すると予測される。水道設備を維持するよりは、タンク車による給水の方が効率的だという考えだ。

 タンクからの給水。災害時などの非常事態か、発展途上国のイメージが強い給水手段だが、近い将来、日本の過疎地においては当たり前の光景になってしまうのかもしれない。

 水道をひねれば、飲めるほど安全な水がいつでも出てくる。豊かな水は日本の誇りだった。その安心安全な水道の維持が今、脅かされている。

 なぜこのような事態になってしまったのか。水インフラの持続と官民連携などについて取材・情報発信を続ける一般社団法人Water-nの代表理事を務める奥田早希子氏に、水道の現状と未来について聞いた。