自衛隊関係者が「ヤバい」と絶句…北朝鮮の軍事パレードで“あってはならない光景”目撃picture alliance / gettyimages

陸上自衛隊の高機動車が海外流出した問題がメディアを騒がせている。タイなどで車両が確認されているほか、ロシア軍がウクライナ紛争で使っているとの疑惑もある。だが、この問題が取りざたされる前にも、自衛隊の関係者が「あれはヤバい」と警鐘を鳴らしていた事案がある。実は陸自の「軽装甲機動車」に酷似した4輪装甲車が、3年前に北朝鮮の軍事パレードで目撃されていたのだ。詳細は明らかになっていないが、一体何が起きていたのか。防衛省出身のジャーナリストが考察する。(安全保障ジャーナリスト、セキュリティコンサルタント 吉永ケンジ)

陸自の「高機動車」が海外流出も
それ以上に「ヤバい」疑惑が…

 陸上自衛隊が解体処分するため民間業者に売り払ったはずの「高機動車」が、解体されないまま海外に不正流出している。主な流出先は東南アジアだが、その一部と思われる車両を、ロシア軍がウクライナ紛争で使用したという疑惑まで浮上している。

 防衛省はこの問題を受け、東南アジアでの転売ルートを調査する費用3億円を令和6年度予算の概算要求に計上するという素早い対応を見せた。だが、果たして問題はそれで解決するのだろうか。

 本稿では、四半世紀以上にわたり防衛省の情報部門で勤務した筆者が、この問題の根深い要因について解説する。さらに、車両の東南アジアなどへの流出以上に、筆者が「日本の安全保障上の重大課題」だと考えている“ある疑惑”についても指摘する。

 というのも、実は陸自の「軽装甲機動車」に酷似した4輪装甲車が、3年前に北朝鮮の閲兵式(えっぺいしき/示威目的の軍事パレード)で目撃されていたのだ。

 この事案について、ある自衛隊関係者は「あれはヤバい」と述べていた。陸自の装甲車が北朝鮮に流出することは理論上あり得ない。詳細は明らかになっていないが、一体何が起きたのか。筆者の見解を論じていきたい。