「自分はダメ」を
繰り返す相談者

【 実際の相談事例 】
 自分のダメな部分を変えることって、できますか?
 すみません、何言ってんだこいつって感じですよね……。
 実は、先月付き合い始めた彼女から「なんでそんな自虐的なことばかり言うの?」「ふつうに話して」「やめて」と言われていて……だけど、自分はずっとこんな感じで生きてきてるので、「ふつうに話して」と言われても、よく分からないです。
 あ、なんか、すいません。自分のことなのに「よく分からない」って言われても、って感じですよね。
 もう、生まれつきダメなんですよ、何やってもダメ。あははは……。

 相談者Nさんは、話の最中に繰り返し、自分自身について「ダメ」という言葉を使っていました。

 そこで「どのような部分がダメだと思いますか?」と尋ねたところ、「よく分からないけど、全部がダメだと思う」という答えが返ってきました。

 そこでもう1つ、「では、これまで誰かにあなたはダメな人だと言われたことはありますか?」と質問をしました。

 理由が分からないけれどなぜかそう思ってしまう場合には、過去のできごとが関係している可能性があるからです。

 すると、Nさんから、次のような答えが返ってきました。

両親からは、毎日のように言われていますよ。それこそ子どもの頃から、ずっとです。

 あなたはお兄ちゃんと違ってダメだから、あなたは弱いからダメ、ダメ人間だからゲームがやめられないんだ……って感じで、しょっちゅう言われています。

 あ、でも親から大事にされていないとか、そういうことはないです。キツイことは言われるけど、親なりに大事にしてくれているとは思うし、ご飯も作ってもらってるし。私が本当にダメだから、ダメだと言われているだけなんです」

「親の言葉」は
やがて呪いに変わる

 Nさんの場合は、親から繰り返し「ダメ」と言われ続けてきたことが、自分がダメだと思うことの原因でした。

 このように、親から子どもの頃に言われた「あなたは〇〇」という言葉は、大人になるにつれて「私は〇〇」という強い思い込みに変わりやすいのです。

 それが良い言葉なら問題ありません。

「あなたなら大丈夫」「あなたはそのままで素敵な人間だ」と繰り返し言われて育てば、失敗しても立ち直れます。

 もし落ち込んでも、「今回はちょっと失敗しただけ」と気持ちを切り替えることができます。
「大丈夫」という言葉に勇気をもらって、また立ち上がり挑戦できます。

 ですがNさんのように、悪い言葉を植え付けられてしまうと大変です。