善玉コレステロール値は
高くても低くても認知症リスクと関連
HDLコレステロール(HDL-C)は、心臓や脳の健康に良い「善玉コレステロール」と考えられているが、その値は高過ぎても低過ぎても認知症の発症リスクを高める可能性のあることが、新たな研究で示唆された。
この研究論文の上席著者である米ボストン大学公衆衛生大学院のMaria Glymour氏は、「この研究は、非常に多くの参加者を長期間追跡したものであるため、得られた結果は極めて有益だ。われわれは、コレステロール値の非常に高い場合から非常に低い場合まで、あらゆる値と認知症の発症リスクとの関連を推定することができた」と話している。研究の詳細は、「Neurology」に10月4日掲載された。
この研究では、カイザー・パーマネンテ北カリフォルニアのヘルスプラン加入者を対象に、HDL-Cおよび「悪玉コレステロール」とされるLDLコレステロール(LDL-C)の値と認知症との関連が検討された。対象者は、2002年から2007年の間に健康行動に関する調査に回答し、調査時点では認知症のなかった55歳以上の18万4,367人(調査時の平均年齢69.5歳、平均HDL-C値53.7mg/dL、平均LDL-C値108mg/dL)で、2020年12月まで追跡された。対象者のコレステロール値は、調査後2年以内に検査室で平均2.5回測定されていた。なお、HDL-Cの基準値は、男性では40mg/dL以上、女性では50mg/dL以上とされている。