多くのビジネスメールをやりとりしている中で、「この人、仕事がしやすい!」と思う相手がいるはずだ。実はそうした人のメールには「パターン」がある。これに沿って書けば、込み入った内容でもムダなく端的に言いたいことを相手に伝えられるのだ。本稿は、中川路亜紀『「仕事がしやすい」と言われる人のメール術』(青春出版社)の一部を抜粋・編集したものです。
「パターン」を使って
ラクに的確なメールを書く
メールを読んだとき、その文面から「仕事がしやすい」相手だと直感することがあります。
サクサクと読みやすく、ほどよくていねいで無駄がない。にもかかわらず、気持ちを配慮した言葉がワンクッション入る。こちらが次にとる行動を予測した情報提供や配慮に唸らされる……そんなメールを読むと、信頼感がふくらみます。
伝え方は重要です。どんなにていねいな言葉づかいで書かれていても、大事なことがぼやけていて用件がスッキリ頭に入ってこないメールは、読むにも返信するにも、時間がかかります。そんなメールは、書くほうも、ああでもないこうでもないと悩んで時間がかかっていることが多いものです。
メールは、シチュエーションに応じて、相手の頭に入っていきやすいように、心にも届きやすいように書く必要があります。込み入った説明が多くなるなら冒頭で用件を簡潔に知らせる、相手が不本意に感じるおそれがあるなら本題の前にワンクッション置くなど、書き方のみならず書く順番にもコツがあるのです。私は、それを「パターン」と呼んでいます。
「仕事がしやすい!」と言われる人の多くは、メールを手早くラクに書いています。それができるのは、実は、頭の中にこの「パターン」が入っていて、いつでも引き出せるようになっているからなのです。
パターンは、従来の文例やテンプレートとは違います。パターンは、スマートなメールに共通する書き方を要旨、つまりどんな内容がどのような順番で並んでいるかという構成でとらえます。
宛名、挨拶の次に何がくるのか。いきなり用件がくるのがいいのか、それとも相手の気持ちにワンクッションを投げるのか。中心になる用件の性質によって、どんな内容をどの順番で書くのがよいのかは違ってきます。
もちろん、パターンに示した以外の書き方もあります。メールの書き方は、多少のメールマナーはあるものの、基本的に自由です。
しかし、一から自由に発想して書くためには、それなりに試行錯誤する時間が必要です。
また、ビジネスメールでは、独自性を出すことよりも、気持ちよく、わかりやすく伝えることを優先しなければならない場面が多いはずです。
そこで、スマートなメールの共通項を抽出したパターンを活用することが、メールを書く時間を短縮する近道にもなるというわけです。また、パターンは、先にも書いたように、必要な内容を必要な順序で書いた様式なので、内容の漏れを防ぐことにも役立ちます。