中東で展開している直近の戦争の恐怖に世界の目がくぎ付けになっている間、中国は南シナ海で忙しく勢力圏の限界に挑んでいた。南沙(英語名スプラトリー)諸島周辺で中国が領有権を主張する公海上で22日、同国海警局の船舶と別の中国船がフィリピンの補給船と沿岸警備隊の船舶にそれぞれ衝突した。米国務省は、中国の行為が「国際法に違反している」という重大な指摘をしたが、中国は意に介していないようだ。このコラムの読者なら知っている通り、ジョー・バイデン米大統領が就任して以降に起きている最も重要な国際情勢の変化は米国の抑止力の低下だ。ウクライナでの戦争、そして中東での混乱と流血の惨事の激化は、米国の力と政策ではもはや修正主義勢力を抑制できなくなった状況下での人的・経済的代償を示している。