将来的には増税もあり得るからこそ
選挙前に「減税」しておきたいのが本音

 さて、話を減税に戻しながら、あらためて考えてみましょう。政府はここのところ、とにかくお金がかかる政策を打ち出しています。中でも課題になっているのが繰り返しになりますが防衛費と少子化対策で、どちらも不足財源については将来的に増税が充てられる構想になっています。

 そこで選挙です。将来的には増税がありうるが、与党は減税もちゃんとやっていると言いたいというのが、今回、どうしても給付金ではなく減税にしたいという背景事情なのではないでしょうか。あくまで推測の話であり、政府が公式にそのような意見を口にするとは思いませんが。

 世論は減税については消費減税を望む声が大きいようです。ただ、それが恒久化されては逆に財源が減ります。そこで、1回切りで済むように、定額で1人当たり4万円を減税するという話が今回浮かび上がったわけです。その話に若干の無理があり、現状としては900万人ないしは400万人の隙間層が減税の恩恵を得られないことが危惧されているのです。

 最終的には、優秀な官僚が何らかの形でこの400万人を救う方法を考えてくれるとは思うのですが、起きていることを俯瞰(ふかん)して眺めるとやはり、全体像に無理があることが根本の問題に思えます。それは減税の話だけではなく、政策の全体像を含めての話です。