岸田文雄首相が「増税メガネ」というあだ名で呼ばれているのを記事やSNSで見かける機会が増えてきた。岸田首相本人がまだ増税したわけではないのに、なぜ「増税」をあだ名にされるのか。そして、愛情やユーモアが一切感じられない冷たい印象を与える「メガネ」と、なぜ組み合わさったのか。「単なる悪意」とは片付けられない、実は考えてみる価値があるテーマなので、ぜひお付き合いいただきたい。(経済評論家 山崎 元)
「増税メガネ」で定着?
あだ名の功罪
主にネット界隈でだが、岸田文雄首相のあだ名が「増税メガネ」で定着しそうだ。そして、ご本人はこのことを大変気にしているらしいと風の噂に聞く。
これをどう考えたらいいのか? なぜ「増税メガネ」と呼ばれるのか? 岸田首相側に対策はあるのか?
まず、あだ名があることについては少しだけポジティブな面がある。あだ名が付くほどの在任期間が経過したということだ。時代の近い首相歴任者では、菅義偉前首相や、麻生太郎元首相は、あだ名を付けやすい風貌をしていたように思うのだが、在任中に明確なあだ名が付かなかった。この点、岸田首相は、もう少し長持ちしているので、あだ名を付けてもらえた。
しかし、前々任の故安倍晋三首相は、在任期間が大変長かったにもかかわらず、あだ名が付かなかった。それなりに個性的な人相でエピソードも豊富だったが、あだ名を付ける側から見たポイントを絞らせなかった。妙なところで、さすがだ。
この点、ネット民から見て岸田首相の個性は絞り込みやすいのだろう。「増税したがっている人」という以外に注目すべき特色がないからだ。