経団連はなぜ消費税を上げたがるのか?「日本国民を不幸にする」増税案を打ち出したワケ写真はイメージです Photo:PIXTA

経団連が2024年度税制改革に関する提言において、消費税の引き上げを「有力な選択肢の一つ」と指摘したことが話題になっています。実は、このような「日本国民を不幸にする」増税案が議論される裏には“事情”があるのです。(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)

物価高・円安・実質賃金ダウンの今
「消費税増税」が議論されるのは、なぜ?

 9月20日の正午頃、「消費税増税」が突然、X(旧ツイッター)のトレンドに入りました。チェックしてみると、その10日ほど前に経団連が発表した2024年度税制改革に関する提言が掘り起こされて、あらためて話題になっていた様子です。

 具体的には、経団連が少子化対策を含めた社会保障制度の維持のための財源として中長期的には消費税の引き上げが「有力な選択肢の一つ」と指摘した点が話題になっていたのです。

 この物価高でしかも円安トレンドが止まりそうにもなく、賃上げはわずかにあっても実質賃金はコンスタントに減少している昨今、もし消費税増税などしたら国民の生活が立ち行かなくなるのは自明です。

 一方で、経団連が毎年この時期に行う税制改正に関する提言には一定の重みがあります。財界が政府の政策について何を容認するかの指針を示す発表であるため、財界は国が消費税増税を選択するのであれば反対しないと言っているわけです。

 なぜ、このような事態が起きているのでしょうか。実は「ある視点」に立つとそのカラクリが見えてきます。