2022年10月29日深夜、ハロウィーンの人出でにぎわう韓国・ソウルの梨泰院(イテウォン)地区で、人波に押しつぶされて159人が亡くなるという大惨事が起きた。あれからもう1年がたつ。再びハロウィーンを迎える韓国に、この1年間で起きた変化とは……。梨泰院群衆事故のその後と、韓国にもたらした影響をまとめる。(韓国在住ライター 田中美蘭)
梨泰院の群衆事故が起きたハロウィーンから
もうすぐ1年がたつ韓国
159人という死者を出したソウル・梨泰院の群衆事故からまもなく1年が過ぎようとしている。死者の大半は20代~30代の若者であり、日本人2人を含む26人の外国人が犠牲となった。ハロウィーンを目前に控えた10月29日の週末の夜に繁華街で起きた痛ましい事故は、韓国国民のみならず海外にも強い衝撃と深い悲しみを与えた。
新型コロナによる自粛規制が大幅に緩和されて以降の大規模なイベントということで、当日は若者を中心に梨泰院は「尋常でないほど」の人出で、前日の夜や、事故発生の数時間前にもその予兆を感じた通行人が警察に通報をしていたほどだったという。
韓国でこうした大型事故がなくならない背景には、事故原因の検証や再発防止に向けて安全策を改善するよりも、悲しみや衝撃を国民の感情に訴えて政治的に利用しようとすることを優先する、韓国独特の事情があることも否めない。