遺族の悲しみに寄り添うのではなく、
政治利用する野党や左派市民団体への嫌悪感

 梨泰院の群衆事故の後、左派系野党の「共に民主党」や市民団体が尹政権の責任を追及していた。国民の支持を得て政権批判につなげたかったためだが、実際には国民からそっぽを向かれた上に、「第二のセウォル号として利用しようとしている」と冷ややかな反応が多かった。彼らの目論見は不発に終わったといえる。

 保守政権で世論に衝撃を与えるような事件や事故が起これば、ここぞとばかりに「政争の具」としようとする彼らのやり方には本当にうんざりさせられるし、人としての心が感じられない。家族を失くすなどつらい思いをしている遺族に対し寄り添うという姿勢ではなく、「国のせいだ」などと煽り立てて、政府批判を促すというのが彼らのやり方である。こうした左派系の政党や市民団体の主張は最近では「被害者ビジネス」と揶揄(やゆ)されることを知っている人も多いだろう。

 梨泰院の群衆事故から1年を前に、10月18日、左派系市民団体が大統領室庁舎前でデモを行なった。事故の犠牲者も含まれているというこの市民団体は、尹政権の責任追及と団体が主催する追悼式典への参列を要求しているという。

 この記事に対するコメントに目を通すと、市民団体の「政権の責任」という主張に対して、「いまだに事故を政権の責任としていることにあきれる」「事故が起こったことは悲劇だが、これを国のせいにするのはあまりにも無理がある」「梨泰院のハロウィーンは政府が主催したイベントか?勘違いするな」と否定的なものがほとんどだった。野党や市民団体からしてみれば、大きな事故をきっかけに、かつてのように世論を扇動することがしにくくなっているのが現状である。

 梨泰院で起きたような悲劇を、政治的に利用するのはもう終わりにしてほしい。それよりも、再発防止や安全対策の徹底など、経験を前向きに生かしてほしいと願う。