「あの人なんであんなことを言ってきたんだろう」「この仕事、終わらなかったらどうしよう……」など、寝ようとするといろいろな考えが頭の中にわいてしまって眠れないことはないだろうか。そんな、早く眠りたいのに、グルグル思考が止まらない人におすすめなのが、『無意識さんの力でぐっすり眠れる本』(大嶋信頼著)だ。多数の著作を持つ人気心理カウンセラーの大嶋信頼氏の本作では、心理学的なアプローチによって、働きすぎている意識をストップし、読むだけで眠くなるメソッドを多数紹介。「2ページ読んだだけで眠れた」「ストレスが消えた」「自己肯定感が高まった」などの感想が多数寄せられている本書。今回は発売を記念して、本書から特別に一部抜粋、再編集して「眠くなる方法」を紹介する。(構成/照宮遼子)
嫌な記憶をリセットしてくれるものとは?
「寝て嫌なことを忘れる」と表現することがある。
これは実際には忘れているわけではなく、私たちは「寝ている間の無意識の働き」によって記憶を適切に整理してもらっているのだ。
無意識は眠っている間に嫌な記憶をただ整理してくれるだけではなく、解決策を提示してくれたり、逆にその不快な気持ちを教訓に変えてくれたりもする。
「嫌な記憶」は“無意識さん”におまかせ
子どもの頃、嫌なことがあっても、寝て起きれば気持ちがスッキリしていたという経験がある方も多いのではないだろうか。
これは、無意識が、記憶と感情を寝ているときに適切に整理してくれているからに他ならない。
考えすぎて眠れない人は、考えるのをストップさせて、ぜひ“無意識さん”の働きを活用してほしい。
「寝る前の思考」があまり役に立たない理由
不快な記憶の処理を自分でしようとして、うまく整理できず、苦しくなって眠れないという状態に陥っている人がとても多い。これは考えすぎて「グルグル思考」から抜け出せない状態だ。
無意識は過去の膨大な失敗体験をもとに整理してくれるが、その膨大な体験を自分でひとつずつ精査して、意識的に整理することが難しいのは言うまでもない。
これは、部屋の片付けをするために、押し入れから荷物を出していったら、逆に収拾がつかなくなってしまったのと同じような状態を意味する。
人間関係で嫌なことがあったり、やるべき仕事がちゃんとできていなかったりしても、その体験を無意識さんに任せてしっかり眠ると、無意識が過去の膨大な失敗体験と参照してくれて、記憶を整理して解決策を導き出してくれるのだ。
寝る前に考えすぎが止まらなくなったら、「考えてもしかたがない。無意識に任せて眠っちゃおう」とするほうが効率がいいというわけだ。
「意識」と「無意識」のバランスが大切
そもそも私たちが生きるためには、意識と無意識の両方が大切だ。
意識が働くことによって、常識的に生きる(行動する)ことができるし、その一方で無意識は、私たちが意識できる以外のところで働いていて、心身を整えてくれている。
たとえば、呼吸や心臓の拍動などは無意識の働きによって行われているものの代表格で、睡眠中の記憶の整理も無意識によって行われている。
このように、意識の働いていないところでも無意識が常にサポートしてくれているのだ。
無意識に任せても、不快感が残っているときは?
無意識に任せて眠ると、翌朝たいていスッキリ目覚められるはずだが、不快感が消えていないというときもある。
実は、起床したときのその不快感は、無意識が記憶を整理した結果、「今の自分に必要だから無意識がその感覚を残してくれた」ということを意味する。
たとえば、誰かに嫌味を言われ、無意識にこの不快感を任せて寝たのにもかかわらず、翌朝になっても不快感が消えないという場合。
その不快感のおかげで、相手に近寄らずにすみ、再び嫌な思いをしなくなるのだ。
自分を苦しめる相手に近づきすぎず、変に利用もされず、適切な距離感で付き合うことができるようになっていく。
無意識はこのように、どんな出来事でも眠っているうちに適切に整理し、私たちを助けてくれるのだ。
(*本稿は『無意識さんの力でぐっすり眠れる本』より一部抜粋、再編集したものです)