眠りたいのに眠れない、ストレスがたまりがちな人におすすめなのが、『無意識さんの力でぐっすり眠れる本』(大嶋信頼著)だ。著者は著書累計55万部を突破している人気心理カウンセラーの大嶋信頼氏。最新作の本書では、心理学的なアプローチによって、読むだけで眠くなるメソッドや眠りをうまく活用する方法を紹介。「よく寝られて健康にいい本」「ものすごい安心感に包まれた」「睡眠の意味づけが変わる1冊」といった感想が寄せられている。今回は本書の発売を記念して、睡眠クリニック「RESM新横浜」で副院長を務める、精神科医で禅僧の川野泰周氏に、「眠り」の重要性や本書の活用法などについて聞いてみた。(取材・構成/林えり、文/照宮遼子)

【精神科医が教える】ストレスで眠れない夜にスーッと眠りにつく方法とは?Photo: Adobe Stock

禅僧の精神科医が実践する「寝る前のルーティン」とは?

──川野先生は、考えすぎて眠れなくなることはありますか?

川野泰周(以下、川野):たまにありますが、寝る前に「マインドフルネス瞑想」をするので、大体そこでリセットできていますね。

 

──「マインドフルネス瞑想」ですか。

川野:はい。寝る前に10分とか15分ぐらい「呼吸瞑想」をすることが多いですが、たとえ5分でも、2分でも、瞑想するのは睡眠を促進してくれます。

──「呼吸瞑想」とは具体的にどのようにやるのでしょうか?

川野:私の場合、床に置いた「坐蒲(ざふ)」という丸いクッションに座って、自然な呼吸をしながら空気の流れを感じたり、呼吸に合わせて、一つ、二つと、心の中で数を数える「数息観(すうそくかん)」という瞑想法を実践しています。

──寝る前のルーティンを行うことで体も寝る準備に入れるんですね。

川野:そういうことです。

誰もがたくさんのタスクを抱えて生きる現代においては、やり残した仕事は明日以降にして、ここから先は寝る時間だというふうに心を切り替えることが大事です。

寝る前の時間をゆったりと、考えごとから離れて過ごすことで、マインドフルな心の状態になることが安眠のポイントだと思います。

考えすぎて眠れない夜に試したい「ボディスキャン瞑想」

──瞑想にもいろいろ種類があると思いますが、おすすめの瞑想法はありますか?

川野:患者さんには、「ボディスキャン瞑想」をおすすめしています。

ボディスキャン瞑想とは、あおむけになって、つま先、膝、骨盤、お腹、胸、肩、首、顔、頭と、順々にその場所の感覚に注意を向けていく瞑想です。

まるでその部位をCTスキャンするかのように体をありのまま感じ、次の場所に移るたびに深呼吸でリラックスしていくという瞑想法です。

──やっていると寝落ちしてしまいそうですね。

川野:患者さんやマインドフルネス教室の生徒さんに感想をうかがうと、途中で寝てしまって最後までできなかったという人の方が、圧倒的に多数派です。

 

でも私のスタンスでは、翌朝にきちんと効果を感じていればいいと思っています。

慣れてくると、「やらないで寝るより、ボディスキャン瞑想をしながら寝落ちしたほうが、すっきり朝目覚められます」とおっしゃる方が多いです。