日本は「斜陽化」によって
イタリア、スペイン、韓国、台湾と同レベル

 以下、IMFの2023年版の数字で世界の情勢を整理します。

 第1集団は1人当たりGDPで8万ドル(約1200万円)を超える国々でアメリカはここに入りますし、アジア太平洋地域ではシンガポールとカタールがここに入ります。ひとことで言えば、第1集団は世界から投資が集まる国々です。

 それに次ぐ第2集団が、1人当たりGDPが5万ドル(約750万円)前後の国々で、ドイツ、イギリス、フランス、カナダなどG7の国々はほぼこのグループに入ります。アジア太平洋地域ではオーストラリアがこの集団の上位に、ドイツとほぼ同じ位置には香港がきます。第2集団はひとことで言えば、経済が順調な国々や地域です。

 そして第3集団は、1人当たりGDPが一段低い3万ドル台前半(約500万円前後)の国々です。日本は約3.4万ドル(約510万円)で、この集団の目立つ位置を走っています。近隣諸国・地域では韓国が3.3万ドル、台湾が3.2万ドルとほぼ日本とは団子状態です。G7に所属するイタリアは3.7万ドルとこの第3集団の先頭を走り、同じくEUに所属するスペインが3.3万ドルと、日本のすぐ後ろにつけています。

 この第3集団はイタリア、スペイン、日本のようにかつては世界のトップだった国が斜陽化したものと、韓国、台湾のように経済が発展して追いついてきた国や地域が混在します。

 日本経済がここまで転落してしまうと、「円安が悪い。ここまでの円安になってしまったのは日銀が悪い」と思いがちですが、その考えは間違いです。