早稲田のブックオフで未開封の「鬼平犯科帳DVDコレクション」が売られていたワケ写真はイメージです Photo:PIXTA

多くの人にとって日常生活に溶け込んだ存在になっている一大古書チェーン・ブックオフ。筆者はブックオフの特徴に、本との偶然の出会いに代表されるような「なんとなく性」があると分析する。ブックオフが持つなんとなく性はどのようにして生まれるのだろうか。本稿は、谷頭和希『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)の一部を抜粋・編集したものです。

買い取り基準が生み出す
「なんとなく性」

 さらにこの「なんとなく性」に関わる重要なシステムが、ブックオフの本の買い取り基準です。

 ブックオフの新しさの一つは古本の値段設定とその価格を決める方法にありました。従来の古本屋は本に精通した店主がじっくりと一冊一冊を手に取り、中身を見て、その総合的な観点から値段を決めていました。一方、ブックオフでは、古本の価格は「見た目のきれいさ」と「本の新しさ」というわかりやすい基準だけで決まります。いかにそれが古典の名著だったとしても、あるいは著者のサインが入っていようとも、見た目がよくなければ、あるいはそれが古い時代に印刷されたものであれば売り値は最低価格(多くは100円か200円)になるわけです。

 ここで注目したいのは、本がその新しさだけで選ばれることによる影響です。内容での選別がないとどうなるか。買い取りに出されたありとあらゆる本がすべてフラットに「なんとなく」店頭に並ぶのです。