就職人気企業ランキングで上位の常連であるビール業界では、1980年代に大量採用されたバブル入社組が間もなく役職定年を迎えようとしている。特集『どの世代が損をしたか?氷河期部長&課長の憂鬱 出世・給料・役職定年』の#7では、彼らを待ち受ける待遇を、内部資料を基に明らかにする。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)
減税で10月の売り上げが急増も
ビール大手のシニア世代の待遇に明暗
長く、コロナ禍で憂き目を見たビール業界に追い風が吹いている。アフターコロナで飲食店に卸す業務用の需要が回復しただけでなく、2018年の酒税法改正で、26年までに3段階で酒税が変更されていくことになっているからだ。
23年10月1日に2度目の酒税改正が行われ、ビール1缶(350ml)当たりの酒税は70円から63.5円に引き下がった。その結果、売り上げが急増中だ。11月に入って各社が発表した10月の販売動向によると、「アサヒ スーパードライ」は前年同月比で148%、「キリン 一番搾り」は154%、「サントリー ザ・プレミアム・モルツ」は141%となっている。
26年にはビールの酒税はさらに引き下がる。63.5円から54.25円となり、発泡酒や第三のビールと同率になることでビールへの回帰が進むとみられている。
もっとも、今回の追い風はなくとも、アサヒビール、キリンビール、サントリーなどの大手各社は高水準の給与体系で知られている。22年度の有価証券報告書によると、アサヒグループホールディングスの平均年収は1230万円、キリンホールディングスの平均年間給与は943万円だ。
ただし、あくまで有価証券報告書の数字は平均のもの。現場を取材するとバブル世代、氷河期世代のリアルな待遇と悩みが見えてきた。次のページでは、人事給与制度に関する内部資料を基に管理職が得ている給与の実額や、その後に待ち受ける役職定年後の待遇を明らかにしていく。