中学受験の専門家たちは「難関校ほど大学の理系進学率が高い傾向がある」と口を揃える。しかし、難関校の中でも“ある共通点”を持つ学校だけは例外だという。特集『新・理系エリート』(全59回)の#10では、入試は易しいのに理系進学率が高い“お得な”学校、一方で入るのは難しいにもかかわらず理系進学率が低い、いうなれば「理系コスパの悪い」中高一貫校のランキングを作成した。また、2月の中学受験本番を前に、難関中高一貫校の受験生、在学中の現役生徒を指導するエキスパートから、算数・数学を得意にするためのアドバイスも伝授する。(ダイヤモンド編集部 野村聖子)
「理系コスパの悪い」
中高一貫校ランキング
「中高一貫校は近年、大学入試での理系進学率は上昇傾向にある」と日能研グループのみくに出版が発行する「進学レーダー」の井上修編集長は断言する。日能研本部調査による2020年→22年の首都圏の中高一貫校の理系進学率の推移を見ると、男子校42.5%→44.9%、女子校26.9%→29.1%、共学校35.0%→35.3%といずれも上昇している。
中学受験業界の関係者たちによると、理系進学率の上昇はIT人材の需要増を反映した保護者からのニーズが大きいようだ。
長女を関西地方の難関中高一貫校に通わせている40代の男性は「職場でデジタル人材のニーズが高いことを実感している。娘には『情報系などの分野に進むと将来活躍できるんじゃないか』と話している」という。IT人材の需要増を保護者自身が職場で体感し、危機感を募らせている結果ということだ。
では、わが子を理系に進学させたい場合、どの学校を選ぶべきか。それを明らかにするため、全国の中高一貫校の理系進学率を調査した。
次ページでは、入りやすいのに大学入試の理系進学率が高いお得な学校の一覧と、入学時は難関なのに大学入試の理系進学率が低い学校ランキングを大公開する。また、2月の中学受験本番を前に、難関中高一貫校の受験生、在学中の現役生徒を指導する算数・数学のエキスパートから、算数・数学を得意にするためのアドバイスも伝授する。