東京大学と京都大学の理系大学院の中には、他大学出身者や社会人などが入りやすい“穴場”がある。文系出身者が入りやすく、理系を学んだり研究できる“穴場”もある。特集『新・理系エリート』(全59回)の#9では、東大と京大の大学院それぞれの穴場リストを作成した。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
東大大学院には七つ、
京大大学院には六つの穴場
学歴コンプレックスの解消、理系コンプレックスの解消、行き詰まったキャリアの打開――。大学院は学びや研究を深めるだけではなく、人生を変えるきっかけになる。仕事につながる学問を身に付けられる上に、社会的評価の高いところに入れば、キャリアアップも学歴アップも実現できる。コンプレックスが一転、社内出世や転職での武器に変わる。
1990年代に大学院を増やす大学院重点化政策が始まり、全国の大学に専門職大学院や学部を持たない独立研究科などが創設された。この流れの中で、少数の秀才だけで構成する大学院、大量採用する大学院に二極化した。
大学院の入試難度は幅広くなり、受験先選びにはより深い情報収集が必要になった。大学受験では手が届かなかった大学でも、大学院となれば入りやすい“穴場”が出てきたのである。それは国内最高峰の東京大学や京都大学も例外ではない。
『「学歴ロンダリング」実践マニュアル』(オクムラ書店)の著者で大学院受験予備校講師の赤田達也氏によると、「内部生の進学が少ない研究科や専攻は他大学出身者が入りやすいし、実務経験のある社会人に門戸を広げているところもある。また研究内容が一つの学問分野にとどまらず幅広い学際的で文理が融合している研究科や専攻は、文系出身者も入りやすい」。
さまざまな要素の有無で入試難度はかなり違ってくる。教授の中には格下の大学出身者を受け入れるのを嫌う者もいれば、実務経験など新しい血を歓迎する者もいる。定員が埋まらずにえり好みしていられない研究科もある。こうした事情が穴場を生む。
「大学院受験は情報戦。情報取集に基づいた受験戦略を立てれば、名門大の院生になる確率が上がる」という赤田氏の協力の下、穴場リストを作成した。
次ページでは、東大と京大の大学院を徹底解剖した。東大大学院には七つ、京大大学院には六つの穴場がある。