質問や感想がチャットに次々と書き込まれていく

 続いて、2人目のプレゼンターが、「人と組織の課題解決のための7つのステップ」のステップ5「実践する」とステップ6「評価する」のサマライズを発表した。「実践する」のポイント1「目的を打ち込む」についての説明がなされると、中原教授が「『分かっているはず』は『自分で墓を掘るようなもの』」「Why do? Why now? Why us? What’s merit?」とチャットに投稿。さらに「目的の打ち込みをしない組織が多過ぎる。何度も打ち込まないとダメ」と発言された。中原教授は、「目的の打ち込み」の必要性を「研修開発ラボ」でも語られていたので、その大切さを私は再認識した。また、「評価する」のサマライズの中で研修転移の評価についての言及があり、チャットでも質問が寄せられた。研修評価のひとつとなるアンケートについて、中原教授は「アンケートでは、ネガティブな意見を主催者側が排除してしまうケースがあるが、アンケートの回答には誠実に向き合うことが大切」と語り、「コンフリクトはごちそう」というキャッチーな言葉も残した。ネガティブな意見やコンフリクトを恐れずに、そこからの学びを生かすことが研修自体の評価や受講者の成果につながることが分かる。「ノーコンフュージョン、ノーラーニング」なのだ。

 最後のプレゼンターの担当は、ステップ7「別れる」と、本書の第6章「よりよい課題解決者になるために」のパートだった。「別れる」とは、クライアントとコンサルタントの「健全な別れ」を意味する。クライアントが継続的に自走するための「置き土産」を用意して、フェイドアウトすることが重要だという。そして、「よりよい課題解決者になるために」のサマライズでは、「コンサルタント自らも“アップデートし続ける”」という本書の内容が紹介された。「自分の専門領域ではないものにどうアクションすればよいか?」というプレゼンターからの質問に、中原教授は「できないものは『ピンチ』でもあり、『チャンス』でもある」「学びはアップデートのチャンス」「こなすだけの仕事はバレる」など、簡潔かつ鋭い答えを連発していく。それに対し、参加者から、次の質問や感想が寄せられていき、中原教授は、「チャットで皆さんが出してくれる意見が学びにつながる」「私の蓄積は古いと言われることを楽しみにしている」と語った。