「イライラが止まらないときがありませんか?」
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/種岡 健)

「イライラが止まらない」→精神科医が明かす“とっておきの対処法”とは?Photo: Adobe Stock

イライラが止まらなくなる

 イライラが抑えられなくなって、余裕がなくなるときがありませんか。
 怒りが爆発している瞬間は何も感じず、感情を吐きだし続けられてしまいます。
 ただ、怒りをぶつける対象がいなくなったり、時間が経って感情が収まってくると、徐々に怒りはしぼんでいき、大きな疲労感とうつ気分が襲ってきます。

「ああ、なんで私、イライラしてるんだろう……」

 このような感情の爆発がコントロールできないでいると、会社や学校などに馴染むことができず、孤立したり、敵を作ってしまい、社会活動を続けることが難しくなってしまいます。

 さらに感情の方向性は「怒り」だけでなく、「悲しみ」として表れることもあります。
 自分の感情を制御できず、つい人前で泣いて周囲を混乱させてしまったり、気を使わせてしまったことに、あとから恥ずかしさを感じることになり、仕事に行けなくなってしまうのです。

怒っている人は「自分を守っている」

 こうしたメンヘラっぽさを「爆発型」とします。
 自分の感情を制御できなくなって、そのことを後悔したり、嫌な記憶として残るようなことは避けたいですよね。
 このタイプのときには、

・あたたかい関係を築くこと
・変えられることと変えられないことがあると受容すること

 の2つが不足していることが多いです。
 感情を発露するような怒りや悲しみは、もともとは「自分を守るための防衛機制」としての役割を持っています。
 防衛機制とは、心の安定を図るために不快な体験を弱めたり避けたりしようとする心理的な反応です。

 これは、人間なら誰しもが持つものです。
 誰だって恐かったり、不安だと感じる場面では緊張するものです。
 不安が強かったり、恐いと感じるほどに防衛機制は強く働きます。通常であれば私たちを守ってくれる、いわば危険を知らせるためのサイレンのようなものです。

 この防衛機制自体は心を平衡に保つための大切な機能なのですが、メンヘラっぽくなって防衛機制がうまく働かなくなると緊張の糸が緩まず、このサイレンが常時鳴りっぱなしになるのです。
 だから、すぐに自己防衛で怒ったり、泣いたりしてしまいます。
 このような状態では、日常生活を送ることが難しくなり、疎外されてしまいます。

「他人の相談」にたくさん乗っておこう

「怒り」のような感情を抱いたときは、その事実を後から話せる人がいることが大事になります。
 それが、先ほどの「あたたかい関係を築くこと」に関連します。

 その場で怒りを発散するのではなく、後から鎮める。
 そのために友人とは「話し相手」という関係性をつくっておくことです。
 いざというときに友人に話せるためには、あなたが元気なときにはその友人の怒りの話も聞いておくことが大事です。

 冷静なときには、つねに「理性的な私」でいられます
 だから、他人の相談や悩みを聞くと、

「それは仕方ないね」

 と、物事に対して「変えられないことがある」ということに気づきやすくなりますよね。
 その訓練をしておくことで、自分に怒りの感情が湧いたときにも「変えられないこと」を受け入れやすくなります。

(本稿は、頭んなか「メンヘラなとき」があります。より一部を抜粋・編集したものです)

精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医。
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。