25卒からの新たなインターンシップ制度の影響

 近年の傾向として、インターンシップ類が企業と学生の接点として重要な意味合いをもってきていることも見逃せない。

高村 学生の一日仕事体験やキャリア支援プログラムなどを含めたインターンシップ類への参加回数は年々増加傾向にあり、「インターンシップ類の参加経験が入社企業の選択に影響した」という学生は8割に達しています。また、インターンシップ類に参加した企業に入社を決めた学生の割合も3割を超えています。学生にとって、インターンシップ類の参加はもはや就活の一部になっているといえます。

高村 今年(25卒)から始まった新しい4類型のインターンシップ制度では、一定の条件を満たしたインターンシップ(タイプ3=汎用的能力・専門活用型インターンシップ)については参加学生の情報を広報活動や採用選考活動に利用できます。ですから、採用活動におけるインターンシップの重要性はいっそう高まることになるはずです。それとともに、政府の要請によって、26年卒からはタイプ3のうち専門活用型インターンシップ(実施期間は2週間以上)に参加した人材については4年生の6月以前の採用選考も可能な方向に切り替わることになりそうです(*2)。実際には、企業の現場対応というハードルは高いでしょうが、インターンシップ制度は今後さらに変化していくと見ています。

*2 一般社団法人 日本経済団体連合会「2024(令和6)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請等について」参照

高村 また、インターンシップ制度とは別ですが、従来の外資系やIT系にとどまらず、大手企業の間でも、より柔軟に採用選考と内定出しを行う動きが出てきています。ある大手商社では、24卒採用において、学生の事情が多様化していることを踏まえ、学業・学生生活をできる限り阻害しない、複数の時期に、採用面接を行うことを公表し、春休み期間の3月と採用選考解禁の6月に時期を分けて採用面接を実施しました。就活生は3月選考か6月選考かを選んでエントリーし、3月選考の場合は3月中旬から3月末にかけて面接選考をして内定を出すというものです。政府が公表している採用選考スケジュールからは外れますが、学生の選択肢を広げ、優秀な人材の獲得につなげることがねらいのようです。

 今後、インターンシップ類は、企業の採用活動にどのような影響を与えていくのだろうか。

高村 インターンシップ類は、学生の就職活動を左右します。その会社に入りたくてインターンシップ類に参加し、結果として良かったから「この会社の新卒採用に応募する」というケースと、思っていたイメージと違うので「この会社への応募はやめておこう」というケースの両方があるでしょう。企業側としては、後者のような結果は逆効果です。インターンシップ類を行う以上はしっかりした準備が欠かせません。「同業他社もやっているから」といった、右へ倣えの姿勢でインターンシップ類を始めてもうまくいきません。