民生用のITサービスが先行し、その体験が社会全体で広がりインフラのようなものになっているものと思います。そこにコロナ禍による後押しが加わったことで企業のDXが一気に進んだのではないかと思います。そのため、toBのサービスでも、投資先探しやユーザー獲得、UI/UX、継続利用の施策まで、toC(個人向け)のサービスを参考にしています。

2022年の投資環境の変化や注目領域・プロダクトについて

2022年は、①クラウド・DX化が業務の効率化から新しい価値の創出につながるサービス、②脱炭素が生み出す新しい経済性に注目しています。

①のクラウド・DX化が生み出す新しい価値は、情報の集約・分析による価値の採掘と繋がる・広がることによる価値の創出にあると思います。

情報の集約・分析による価値の採掘は、例えば全社員の保有する名刺をクラウドに上げている会社も多いと思いますが、それによる価値創出は体感の通りかと思います。報告書、契約書、請求書、各種伝票などなど、今まで紙や自社システム内に保管されていたものをクラウドに上げることで価値が創出されるソリューションは、すでに普及段階にあると思います。

そのような収集・分析により価値発揮されるサービスもまだまだ広がると思いますが、そこからさらに他社や他業務等に繋がることによる価値が創出されてくると思います。規制緩和が前提ですが、例えば給料のデジタル払いも「繋がる」ことによる価値を期待できます。これまで給与は現金又は銀行振込に限定されていたため、個人がFinTechサービスを利用する場合、企業から受け取る給与である「現物」を「デジタル」に変換・移し替える必要がありました。個人家計におけるお金の流れは、源泉部分がデジタルから独立していたと言えます。チェーン全体がDX化されるとその利便性は格段に上がり、新しい価値を生み出せると思います。

また、企業において古くからある商流内の在庫最適化の仕組みとして、SCM(サプライチェーン・マネジメント)という概念があります。世の中の生産者や流通業者のCMのDX化が進めば、自社商流内に閉じた効率化ではなく、外に開いた世の中全体の効率化を実現できます。工数や在庫が余剰になった場合や、足りなくなった際に既存取引先以外の企業を含めて瞬時に調整が図れるような世界観です。

単なる在庫・工数余剰の消化という以上に、新規取引先も開拓できるプラットフォームのような存在を作れると思います。SaaSは月額固定費の料金が多いですが、新しい価値を創造する場合、その成果に応じた成果報酬・トランザクション課金を行うようなサービスも増えてくると思います。