鹿島アントラーズは2020年にコロナで試合が無い時期に、YouTubeのJリーグ公式チャンネルとNHK BS-1で鹿島アントラーズの過去の試合が配信・放送されるのに合わせ、OBたちと過去の試合をアーカイブ動画を観戦するオンラインイベント「鹿ライブ」を開催しました。鹿ライブでは視聴者が投げ銭できる仕組みも取り入れました。

それまで、自分は投げ銭される瞬間はリアルタイムでゴールが決まったタイミングだと思っていたのですが、実際に鹿ライブをやってみて、実はファンの間で語り継がれるようなシーンに対して投げ銭する人が多いことに気付きました。例えば、鹿島アントラーズが3冠を獲得した2001年のジュビロ磐田戦で小笠原満男さん(元鹿島アントラーズ・元日本代表選手)のフリーキックで勝った試合があります。

ファンの多くはそのシーンがどういうものかわかっているのですが、そのシーンが流れた瞬間に一斉に投げ銭をする。サポーターは過去の良いコンテンツにもお金を出すんだな、と感じました。良いものは時間が経っても良いものに変わりはない。

特にサッカーはロースコアのスポーツなので、1点の価値が重い分、NFT化に向いていると思います。「モーメント(試合の場面)」を切るときに、サッカーの決勝点は得点がたくさん入るバスケットボールのようなスポーツと比べて希少価値が高い。自分が好きなディフェンダーの選手がシーズンに一度か二度あるかわからないヘディングでゴールを決めた映像をNFTとして保有できるのであれば、お金を払ってでも手にしたいと思うはずです。

──スポーツベッティングについてはいかがでしょう。

現状、日本にはスポーツくじ(toto・BIG)があるので、スポーツベッティングにも可能性はあると思います。ただ、日本には法規制の問題もあります。今すぐに、というわけにはいかないので、ヨーロッパやアメリカなど海外の事例も見つつ、きちんと法律まわりのケアをしていく必要があるでしょう。

将来的にはスポーツベッティングなどを通じてスポーツ業界全体だけでなく、子どもや教育の支援など社会課題の解決のためにお金が回る仕組みが構築されればいいかなと思います。実際、スポーツくじのおかげで公園が整備されている事実もある。スポーツを中心に社会全体にお金が回るような仕組みができれば、ありだと思います。

──最後に2022年以降のスポーツビジネスのあり方について教えてください。