データドリブンでサブスク事業を支えるツール目指す

アルプは2018年8月の設立。今回の総額12.5億円の調達はシリーズAラウンドにあたり、同社の3回目の資金調達となる。第三者割当増資の引受先はグロービス・キャピタル・パートナーズ、DNX Ventures、GMO VenturePartners、電通ベンチャーズの各社だ。

投資家からは、SaaS事業者を中心とした顧客への事業展開への評価に加え、「あらゆるビジネスが“サービス化”する中で、かなりの企業が継続課金ビジネスのオペレーション実現に課題を抱えている」(伊藤氏)という現状も注目されているようだ。

「情報通信やソフトウェア企業、サービス業、さらにはリースや保険、レンタル、賃貸物件など、毎月請求が行われる広義の継続課金ビジネスでは、実はオペレーションの課題感などがサブスクリプションビジネスと共通するところが多い。そこへホリゾンタルに価値提供できるソフトウェアとして進化させていけるという点が評価され、期待にもつながっているのではないかと思います」(伊藤氏)

継続課金ビジネスのオペレーション効率化で、事業者がより自由度をもってビジネス展開できるようにする。と同時に、アルプでは「販売条件や売上情報などの事業のコアアセットを生かして、より事業をグロースさせるための示唆を与えるような、レベニューマネジメントが可能な経営システムへの進化も目指す」(伊藤氏)としている。

CPOの山下氏は「具体的には、現在のコンディションを可視化できるツールと、そこからアクションにつながるインサイトまで得られるツールとをつくろうと考えている」と語る。

「ピクシブでの最初の半年間、データを集めて打ち手を考えていた際に、可視化や打ち手を検討する業務がかなり属人的で、アナログだと感じました。私はたまたま外部からもアドバイスをもらえたのでよかったのですが、普通の企業ではそういう視点はなかなか得られません。ある程度、規模の大きなSaaS企業でも、この部分には手がつけられていないと聞きます。そこで事業の価値向上のための施策を打てるように、可視化やインサイトの部分もScalebaseを提供する我々が一気通貫で提供するのがよいのではないかと考えました」(山下氏)

今夏にもプロダクト化を予定している可視化ツールは、請求書データやクレジットカード決済データなどをアップロードすることによって、MRRやチャーンレートを類推して表示できるようなダッシュボードだ。