新機体の導入で「違反機体ではない」ことを明確化

Luupが2月に発表した新機体では、故障リスクの軽減を目的にナンバープレートの位置を上げたほか、自立時の安定性のためにスタンドも変更した。そして何より目に付くのは黒基調から明るいカラーへの変更だ。これには前述のとおり、夜間での視認性向上のほか、「違反機体ではない」ことをより明確にするという意図がある。

Luupなどのシェア事業者が特例として適用されている小型特殊自動車と一般の電動キックボードが分類される原動機付自転車では、ヘルメットの着用義務や必要な保安部品に関するルールが異なるため、ユーザーだけでなく、違反を取り締まる警察官も混乱している状況、と岡井氏は話す。

「(Luupが展開する)適法な機体に乗っているのにも関わらず、遠方から警察官に注意されるといったケースが多発しています。そのため、遠目で見てもLUUPの機体だと分かりやすいデザインに変更しました」(岡井氏)

韓国のプレーヤーも日本市場参入へ

警視庁はこれまで「多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会」において、電動キックボードや自動配送ロボットなど多様な交通主体が登場していることを受け、今後の交通ルールの在り方を検討してきた。

同有識者会議が2021年12月に出した最終報告書では、時速20キロメートルまでの電動キックボードを「小型低速車」として扱う。その場合、時速20キロメートル以下の電動キックボードについては、16歳以上の場合、運転免許は不要となる。警察庁は2022年の通常国会に、道路交通法の改正案を提出する見通しだ。

運転免許が不要となれば、LUUPなどのシェアサービスを利用するユーザーは急増するだろう。だが、それは道路交通法を熟知しないユーザーの増加も意味する。

米ウェブメディア「TechCrunch」が報じたところによると、韓国の電動キックボードシェア事業者「Swing」が2022年中にも日本市場への参入を目指している。また業界関係者によると、2023年以降に日本市場への参入を目指す海外プレーヤーも存在する。

電動キックボードの社会実装が本格化する中、各事業者は真に安全なサービスのあり方を問われている。

時期は未定だが、Luupは最終的にはすべての電動キックボードを遠隔操作可能にしていく計画だ。同社では2023年には高齢者も乗れる機体の展開を目指すが、安全性を担保する上で、遠隔操作ができなければ「その社会実装には踏み切れない」と岡井氏は述べた。