結果的にブラジャーを着用するのがストレスになっていたんです。2016年当時、ユニクロのノンワイヤーブラがすでに人気でしたが「長時間着用できる×かわいい」という切り口のものはまだなかった。「だったら私が作ろう」と思ったんです。

IT企業を退職した後は、派遣社員や業務委託のエンジニアとして週3日働くことで生計を立てながら、ブランド立ち上げの準備を進めていきました。

ブランドを立ち上げるにあたって、まずは「販売先の検討」「製造元の工場探し」の模索から始めました。「販売先の検討」では、大手ECサイトやショッピングモールを考えていたのですが、自分が理想とするブラジャーの開発をしていたら、どんどん細部へのこだわりが強くなっていき、モールなどへの出店費用と商品の価格帯が合わなくなったんです。

例えば、楽天市場では下着の上下セットは安いもので2000円、平均価格は4000円ほどですが、BELLE MACARONの商品は8000円ほど。知名度もない中、むやみに商品を出しても埋もれてしまう。そうしたこともあり、自社ECサイトを立ち上げることにしました。

大槻:「製造元の工場探し」はどうでしたか。

小島:最近は、どこのブランドでも商品開発にOEM(Original Equipment Manufacturer、納入先商標による受託製造)を取り入れています。つまり、企画さえ持っていけばデザインやパターンも含めて製造してもらえるんです。昔よりもオリジナル製品をつくるハードルが低く、BELLE MACARONも製造自体はスムーズに進められました。

難しかったのは、私自身にアパレル経験がなく「何がいいのか」を決めきれなかったことです。200万円の自己資金をもとに、1色200枚程度の初期ロットを発注。出来上がったサンプルを着用してフィット感などを確認し、そこから細部をを修正し、完成度を高める。そうしたことを繰り返していき、半年以上の時間をかけて24hブラの前身となる「働く女性のためのおしゃれなノンワイヤーブラ」のプロトタイプが完成しました。

 

そこで2017年1月にノンワイヤーブラの制作プロジェクトを立ち上げ、クラウドファンディングを実施しました。初期ロットはクラウドファンディングで売り切ることができ、7月に自社販売サイトを立ち上げ、ようやく正式に販売することができました。しかし、最初は全く売れませんでした。

そこから素材の90%以上にストレッチ素材を使用したり、胸の横流れを防ぐパワーネットパネルを使ったり、ズレを防ぐカーブ設計など細かなアップデートを重ねていったんです。また、トルソー(マネキン)を使って開発したら、実際の胸と着用感に違いが出ることが分かり、それ以降すべて実際の体を使ってフィッティングなどを調整していきました。そうしたアップデートを重ねて、2018年11月に「24hブラ」が誕生しました。