SWINGの日本法人でCOOを務める石川昇氏
SWINGの日本法人でCOOを務める石川昇氏 画像提供:SWING

だが、単にフランチャイズ方式で展開すれば黒字化するわけではない。石川氏は、黒字化する上で単価と回転率の黄金比を見極めること、そして機体の移動やバッテリー交換などで発生するオペレーションコストを可能な限り下げることが重要だと説明。SWINGでは黒字を実現できるビジネスモデルを見いだし、その上でフランチャイズ展開することで、大きな売り上げを達成できたという。

日本においてもフランチャイズ展開は視野にあるが、まずは2022年中に実証実験という立て付けでのサービス開始を目指す。Beamと同様、場所や時期は未定だが、SWINGでは「街中に無造作にポートを展開するのではなく、特にニーズの高いエリアに多くの機体を設置する方針だ」と石川氏は説明する。

加えて、石川氏は「並行に走る路線間の移動には大きなニーズがあるのではないか」とも述べる。例えば、線路が並行に走る中野駅(JR東日本・中央本線)から沼袋駅(西武鉄道・新宿線)に移動する場合、電車よりもバスによる縦の移動の方が早い。だが、バスは混雑する上、待ち時間も発生する。徒歩に適した距離とも言い難いため、電動キックボードに活躍の余地があると説明する。

「値段がバスよりも100円ほど高かったとしても、電動キックボードを利用したいユーザーは多いのではないでしょうか。バスを置き換えるとまでは考えていませんが、バスでも拾いきれていないようなニーズにも応えられればと思います」(石川氏)

SWINGでは日本市場を韓国の約10倍となる1.5兆円規模と見ている。石川氏は「日本では法改正も進んでおり、巨大なプレーヤーも存在しません。米国のBirdがすでに参入(日本法人名はBRJ)しているため、SWINGは後発とはなりますが、日本はまだまだ参入余地が多い状況だと見ています」と述べる。

アジア大手の2社は国内最大手Luupに追いつけるか

3月4日には時速20キロメートル以下の電動キックボードを「ほぼ自転車」扱いの「特定小型原動機付自転車」とする、道路交通法の改正案が閣議決定された。満16歳以上であれば、免許は不要、ヘルメット着用も任意で公道走行できるようになる見込みだ。

日本市場においては国内スタートアップのLuupに勢いがある。国土交通省のデータによると、政府主導の実証実験に参加する5社による2022年1月までの累計走行距離は約92万キロ。そのうちの約85万キロ(約92%)をLuupが占める。現在、東京、横浜、大阪、京都でサービスを展開する同社では、法改正を見越して、2023年中をめどに全国拡大を目指している。