Beam・CEOのアラン・ジャン氏
Beam・CEOのアラン・ジャン氏 画像提供:Beam

Beamは2022年中にも新たな電動キックボード「Beam Saturn」を世界市場に投入する予定だ。Beam Saturnには「Beam Pedestrian Shield」というAIカメラを搭載する。このAIカメラによって歩行者を検知することで、衝突を未然に防げるのだという。

Beamの機体はこれまでも、「Augmented Riding Safety」という遠隔操作システムに対応。GPSを活用して機体の走行位置を特定し、エリアごとに異なる最高速度を設定することができた。今後はBeam Pedestrian Shieldの導入により、歩道と車道で異なる最高速度を設定するなど、より細かな遠隔操作が実現するという。

Beamでは直近の大型調達をもとに、日本に加えてインドネシアとトルコにも進出する予定だ。資金の一部はBeam Saturnの導入にも充てられる。

日本国内の既存プレーヤーたちは筆者との過去の取材で、欧米に比べ、電動キックボードの普及が進んでいない日本では「危険な乗り物だ」という認識が強いと話していた。だがジャン氏は「安全面での課題はすべてテクノロジーで解決する」と話すなど強気だ。

Beamでは1年前の2021年4月に日本法人を設立。政府や行政との対話を重ね、日本展開に向けた準備を慎重に進めてきた。そして場所や時期は未定だが、2022年中をめどに、日本での実証実験を開始する予定だ。

「我々は政府や行政、そして市民との対話を何よりも重視しています。それはBeamが展開するどの国や街でも一緒です。電動キックボードは新しい乗り物で、まだ人々は見慣れていません。Beamでは安全面での理解を人々から得るために、テクノロジーを活用していきます」(ジャン氏)

韓国「SWING」の強みはフランチャイズ方式によるビジネス展開

「SWING」が展開する電動キックボード
「SWING」が展開する電動キックボード 画像提供:SWING

韓国で電動キックボードのシェアリングサービス「SWING」を手がけるSWINGは2018年の設立。韓国国内では5万台もの機体を設置する最大手のプレーヤーだ。

SWINGは日本法人を2021年11月に設立。同社の代表取締役は本国のCEO、キム・ヒョンサン氏が務めるが、日本でのサービス展開の準備を指揮するのはCOOの石川氏だ。

石川氏はリクルートキャリアなどを経て、2019年に海外食品の輸入・販売を手がけるテイゲンを設立。2021年に韓国のSWINGで働く知人に誘われたことがきっかけで、同社の日本法人にCOOとしてジョインした。

石川氏いわく、韓国には赤字のプレーヤーが多い中、SWINGは黒字化しており、2021年には24億円の売上を記録したという。その鍵となるのは、SWINGの運営を希望する企業に機体やソフトウェアを提供する、フランチャイズ方式によるビジネス展開だ。割合としては、SWINGが展開する機体のうち、4割がフランチャイズによる運営で、6割が自社運営だという。石川氏は「フランチャイズ方式によりロイヤリティフィーを得られるため、利益率が高い」と説明する。