もともと創業者の籔和弥氏(MOSH代表取締役社長)が個人事業主にヒアリングをする中で「スマホで簡単にホームページを作れるサービス」を求める声が多かったことから、2018年2月にホームページ作成ツールとしてローンチ。そこから少しずつ機能を拡張しながら事業を拡大してきた。

MOSHは約1年半前に前回の資金調達を実施している。藪氏はそのときからの変化について、「売り上げのトップラインの上昇」と「ジャンルの拡張」を挙げる。

売り上げについては、フィットネス系など人気のカテゴリーにおいて月商で1000万円を超える個人が生まれ始めた。

MOSHはいわゆるストアフロント型(独立型)のサービスのため、モール型のマーケットプレイスとは異なり、基本的には自身のSNSなどを使って顧客を集めてこなければならない。

これはECにおけるAmazon(モール型)とBASEやShopify(ストアフロント型)との違いと同様だ。ストアフロント型は集客に一定のハードルはあるものの、それを自分でできる個人であれば、テイクレート(≒手数料率)やブランドの打ち出しやすさ、販売するサービスメニューの柔軟性などにおいて使いやすい側面もある。

「モール型は一覧の中で比較検討されるため、コモディティ化を促進するUXになっており、自身のブランドを作ることが難しい面があると考えています。ストアフロント型はどちらかというとソーシャルのトラフィックの中で築いた信頼を基に、商売をしやすくするためのツールです。個人が発信できる時代になったことで、ファンやフォロワーに向けて『自分のブランドを毀損しないようなサイトを作りたい』というニーズが高まってきているように感じています」(藪氏)

あるユーザーはもともとYoutubeで一定の収益を上げていたが、その額をMOSH経由の売り上げが上回るようになった。まだまだ発展途上ではあるものの、クリエイター目線では「Youtube以外の収益源」としてMOSHという選択肢が少しずつ広まってきていると藪氏は手応えを口にする。

強いニーズがあればニッチなジャンルでも成立

売り上げのトップラインが成長している一方でカテゴリーが多様化してきており、GMV(流通額)全体ではロングテール化が進んでいる。

以前は「トップセラーがGMVの大部分を占めていた」(藪氏)が、現在GMVの60%強は月商100万円未満のユーザーが占める。中でもニッチな領域において月商10万円〜30万円規模の収益を生み出す個人が増えてきているという。