MOSHのサービス利用例
 

たとえば自身の経験を基に“発達障害の子どもとの向き合い方”に関するコーチングサービスを提供しているユーザーは、地方在住。もともとオフラインでサービスを提供していたが、MOSHを活用してオンライン展開することで月に30万円前後の収益を獲得できるようになった。

この事例のように、さまざまな領域における「プライベートコンサル」はMOSHで人気のサービスの1つだ。

「(発達障害の子どもを持つ親に対するコーチングなどは)オフラインだと顧客が限られるニッチな領域に思えるかもしれませんが、オンラインになると日本全国がマーケットになる。『強いニーズのあるニッチなジャンル』がビジネスとしても成立するようになってきています」(藪氏)

必ずしも何万人のフォロワーがいなくても、ニッチな領域であっても、自身の情熱に共感したコアなファンがつけば小さな経済圏が成立しうる。実際にMOSH上では「初販売がうまくいった個人はミドルセラーに成長する傾向が強い」ため、会社としてはゼロイチの部分のサポートに力を入れてきた。

「やはり最初のところ、つまり(売り上げ)ゼロからイチに持っていくところが1番ハードルが高いんです。少しでも売り上げを作ることができれば10万円規模くらいまでの道筋は見えるようになってきているのですが、逆にいうと売り上げがゼロのまま止まってしている方も一定数存在しています」(藪氏)

そもそも登録はしたもののサービスの公開に踏み切れないユーザーもいれば、出品はしてみたものの顧客がつかないユーザーもいる。MOSHとしてはクリエイターと共同でのワークショップやセミナー、顧客サポートなどを通じて最初の障壁を下げるための活動を続けてきた。

また一度集客できたとしても、クリエイターは「集客し続けられるかどうか」という不安と向き合い続けければならない。その不安を払拭し、安定的に活動を続けられる基盤として、機能面ではクーポンの発行やアーカイブ動画の配信を始めとした“サブスク機能”を強化してきた。

こうした機能面が充実してきたこともあり、現在はGMVの半分以上がサブスクリプションサービスによるもの。これが全体のGMVの底上げにもつながり、MOSHのGMVは前年比で約2.4倍に成長しているという。

クリエイターの“ギルド化”サポートへ新機能提供へ

MOSHのようにクリエイターエコノミーを支えるサービスは国内外で増えてきている。

各社ごとにアプローチは異なるものの、海外発のサービスでは「Gumroad」や「Luma」、「KAJABI」などが近しい。日本では領域によってはスキルシェアやオンラインレッスン、オンラインサロン系のサービスなどとも重なってくるだろう。