2号ファンドではデジタル、インフラ、ヘルスケア、エンタメといった領域に加えて、「ディープテック」や「大企業やメガベンチャーからのMBO・スピンアウト企業」への投資も強化する方針だ。前者に関してはシャープ子会社で知財サービスを提供しているScienBiziP Japanと連携し、技術戦略や知財面からも投資先をサポートしていくという。

ルーツは2000年から始めたベンチャー育成事業

冒頭でも触れた通り、DIMENSIONは国内スタートアップへの出資を行うベンチャーキャピタルファンドの運営会社として設立された。

もともと親会社のドリームインキュベータでは2000年の創業時から“ベンチャー育成事業”としてスタートアップへの出資や支援に力を入れてきた。約20年間にわたって積み上げてきたハンズオン型の出資支援が強み。2019年2月までの間に約150社に出資しており、マイネットやアライドアーキテクツ、DLEなど30社近くの上場企業が生まれている。

この事業をさらに強化する目的で、外部の投資家からも資金を集めて運営していたのがDIMENSIONの1号ファンドだ。

同ファンドでは年間10社前後のペースで新規投資を実施し、五常・アンド・カンパニーやLegalForce 、ナイル、Antwayなど2年半で24社に出資をした。2021年12月に東証マザーズに上場したサスメドは、1号ファンドの投資先では最初のIPO事例だ。

「(ドリームインキュベータとして2000年からベンチャー投資に取り組んできた中で)より規模を拡大していきたいと考え、取締役会で起案してDIMENSIONを立ち上げました。当初から大きな取り組みができる形態を取るために、ドリームインキュベータが100%のLPとなるのではなく、社外のLPにも加わっていただきながら運営しています。1号ファンドを通じて自分たちが培ってきたハンズオン支援の機能は有効だと改めて感じることもできました。今回のファンドではさらに規模を広げるとともに、機関投資家や上場起業家の方など『外の輪』を強化することで、起業家の支援や社会的に意義のある事業の創出に貢献していきたいという強い思いを持っています」(宮宗氏)

DIMENSIONにとって、ドリームインキュベータからのMBOは1つの転機とも言える出来事になった。以前から将来的な独立を視野に入れていたわけではなく、ドリームインキュベータの経営体制が変わり、それに伴って会社の注力領域が整理されたことなどがMBOを検討するきっかけだったという。