宮宗氏自身は新卒で入社したシャープでデバイスエンジニアとしてキャリアをスタートさせた後、2002年にドリームインキュベータに入社。大企業向けの戦略コンサルティングと並行して翌年からスタートアップの支援に携わり、2016年からは同部門の事業統括を務めてきた。

事業にかける思いの強さに加え、成長支援のノウハウや大企業の経営者を始めとしたネットワークは、起業家をサポートする上でも十分に活かせるはずだという手応えがあった。また自身がMBOを経験すればMBOやスピンアウトの支援にも役立つと考えたことも、独立の道を選ぶ理由になったという。

最終的にはドリームインキュベータの経営陣とも協議した上で、ベンチャー育成事業を引き続ぐような形でMBOを実施。1号ファンドのLPはもともとドリームインキュベータの子会社が運営することを前提に投資していたこともあり、各社へ説明にまわりながら、納得をしてもらうかたちで新生DIMENSIONとしての活動を始めた。

自身の経験活かし、MBOやスピンアウトの支援を強化へ

DIMENSIONのメンバー
DIMENSIONのメンバー

ドリームインキュベータから独立することで、同社のブランドや後ろ盾がなくなるという点ではデメリットもある。一方で機関投資家や上場企業経営者をLPに迎えやすくなることなど、今まで以上に柔軟かつ身軽な体制で運営できるようになったメリットもあるという。

「2号ファンドでは先輩の上場起業家が後輩起業家の経営をアシストするような体制を整えていきます。もともとDIMENSIONでは人の輪やつながりを大事にしてきました。今回LPとして参画いただいた経営者や(宮宗氏がかつて務めていたシャープの子会社にあたる)ScienBiziP Japanとの連携も、これまでのつながりがきっかけです。これらを活かしながらDIMENSIONならではの機能や取り組みを実現していきたいと考えています」(宮宗氏)

チームとしてもMBO後に元SHIFT取締役の鈴木修氏(鈴木氏は新ファンドのゼネラルパートナーも担う)や元スクウェア・エニックス代表取締役社長の和田洋一氏が加わり、ハンズオン支援の幅が広がっている。

またDIMENSION自身がMBOを経験したことで、MBOやスピンアウトを検討する起業へ具体的なアドバイスや支援ができるようにもなった。これまでも400FやBranditなどMBOを実施したスタートアップへの出資も手がけてきてはいたが、上場企業からのMBO経験があるVCは少なく「自分たちにとって大きな強みになる」と宮宗氏は話す。