動画の製作費2億円。登録者数9000万人のYouTuber「MrBeast」

──今の米国におけるクリエイターエコノミーの先端事例をお聞かせください。日本ではクリエイターエコノミー(の定義)はまだぼんやりしている感じがあります。たとえばクリエイターエコノミーの分類で言うと、YouTuberのHIKAKINさんなどはちょっと古いタイプになるわけですよね。広告が収入源だし、YouTube側から出ていけといわれた瞬間にアカウントを失ってしまうという意味では、プラットフォーマーに生殺与奪権を握られています。

日本のYouTuberはわからないですが、特にここ2年ぐらい前から、アメリカのYouTubeは広告(による収益確保)がより厳しくなっています。ちょっと変なことを言ってしまうクリエイターさんは、広告もNGになって、BAN(アカウント凍結)されてしまいます。

──速攻でBANされるんですか。スリーストライクアウトとかじゃなくて。

人によってなんですけど。

──過激すぎるとワンストライクアウトになっちゃうんですね。

たとえ1000万人のYouTube登録者がいたとしても、YouTubeだけでは稼げないと気付いているクリエイターさんが多いです。今回最初に紹介するべき人は、Off Topicのリスナーさんは何回も聞いている名前ですが、MrBeast(ミスタービースト)さんです。

10、11年ぐらい前からYouTubeをやっている方で、いま24、25歳ぐらいなんですけど、おそらくYouTuber初の億万長者というか、ビリオネアになるのかなと個人的には思っています。登録者数は現在9000万人。今年、1億人に届きますね。

──そのペースで増え続けているってことですね。

絶対行きます。去年の始めごろで5000万人ぐらいを突破したタイミングだったので。

──1年で4000万人増えているんですか。

はい。

──はぁ、すごいですね。

 

左上の動画は「イカゲーム」を完全再現したものです。ちなみに、この動画の制作費は2億円です。

──映画じゃないですか。この動画だけで?

はい。もうこのレベルはハリウッド(の映像業界)化しています。彼は広告収入も得ていますし、グッズ販売もしています。実はほかにも複数のYouTubeチャンネルを持っているので、そこの広告収入を全部制作予算に寄せているんですよ。ただ、全部の動画に2億円をかけているわけではないです。イカゲーム再現動画のときだけですね。

──HIKAKINさんが何かあったときにプレゼントをさっと配ることと、文脈としては近いと思います。(視聴者プレゼントでなく)コンテンツへの投資に回すっていうのが欧米っぽいですね。