シンプルフォームの創業者で代表取締役CEOを務める田代翔太氏は日本政策投資銀行の出身。銀行員時代に新興企業の調査業務に携わる中で、情報の不足や調査の大変さを感じたことがSimpleCheckを開発するきっかけになった。

本日の正式ローンチに先がけて、シンプルフォームでは2022年5月にDNX Venturesとインキュベイトファンドから7億円の資金も調達済み。今後は組織体制の強化やサービスの機能拡充を進めていく計画で、今秋を目処に個人事業主のデータベースの提供も予定しているという。

SimpleCheckのサービスイメージ
SimpleCheckのサービスイメージ

煩雑な法人調査を自動化、30秒で企業のレポートを出力

SimpleCheckは調べたい企業名を入力するだけで、約30秒後にその企業の実態やリスク情報をまとめたレポートが出力されるデータベースだ。

たとえば「その企業が登記住所に存在するのか」「過去に行政処分を受けていないか」「事業規模がどのように推移しているのか」「(コンプライアンスの観点で)リスクのある事業や商材ではないか」「ネット上ではどのような評判なのか」といった情報を一箇所にまとめて表示する。

強みは独自の情報だ。登記簿や官報、その企業が運営しているサイトを始めウェブ上に散らばるさまざまな情報を収集しているだけでなく、そもそも“ウェブ上には存在しない情報”を運営チームがマンパワーをかけて集めている。

後者に関しては実際に現地で会社の状況を調べたり、行政機関に問い合わせをしたり、紙ベースの情報を取り寄せたりすることでSimpleCheckにしかない情報が蓄積されているという。

「イメージとしては伊能忠敬のようなことをしたいと思っています。金融は現実世界で発生しているものですが、それが近年『ウェブで申し込みを受け付ける』といったかたちで、どんどんデジタル化されてきている。そこで課題になるのが、情報の断絶があることです。(サービスを提供する上で必要な法人調査に必要な情報は)ウェブで検索しても出てこないものも多いので、必ず人の力が必要になります」(田代氏)

既存の信用調査会社や情報ベンダーが手がけるデータベースなどでは十分にカバーできていなかった中小企業や新興企業の情報を網羅的に収集しているのもポイントだ。

これらの企業の情報収集は顧客からの申告や担当者によるネット検索、簡易的な反社チェックなどに頼るしかなかった。特に「金融機関のコンプライアンス水準に合わせた法人調査」という観点では情報が不足しがちな上に、DXによる非対面取引の拡大でその難易度自体も上がっていることから、喫緊の課題になっている企業も少なくない。