田代氏によると、SimpleCheckを活用すれば法人調査の「効率化」と「高度化」の2点において効果が見込めるという。効率化については担当者が手動で時間をかけてやっていたことの大部分が自動化され、サービス上から欲しい情報に簡単にアクセスできる。

高度化に関しては、今まで金融機関の担当者が自力では集めきれていなかったような情報もカバーすることで、多角的な面からより正しく企業の評価ができるような仕組みを作った。

正式ローンチ前の段階ですでに10社以上がSimpleCheckを活用している状況で、JCBやクレディセゾン 、東京海上、大同生命などの大手金融機関を中心に、リクルートや三井不動産といった非金融系のエンタープライズ企業でも活用が進む。

たとえば金融機関が口座開設の審査や加盟店の管理において法人の情報を調べる際などはわかりやすいユースケース。M&Aのプラットフォームで対象企業の調査をする目的で使われている事例もある。

SimpleCheckの特徴
SimpleCheckでは煩雑な法人調査を自動化するのが特徴

銀行出身の起業家が開発、テクノロジーとマンパワーを掛け合わせた独自情報が強み

冒頭でも触れた通り、SimpleCheckは田代氏が銀行に勤めていた際に感じた課題を解決するために開発したサービスだ。前職でデジタル関連の部門に携わっており、取引先と新興企業をつなぐような役割を担っていたが、その企業の情報を調べるのに苦労した。

「(法人の情報を)人間が見ることで事業のスケーラビリティが制限されてしまうことに課題を感じていました。DX推進などの文脈で表側は変わっても、裏側のチェックする仕組みはこれまでと変わらず人間が担っている。この構造自体を変えていかないとスケーラビリティの問題に対応できないという課題感は、いろいろな金融機関の方と話していても共通するものでした」(田代氏)

同じ業界で働く20〜30人の知人にヒアリングをしても、抱えている課題やニーズはほとんど変わらない。そこで起業に踏み切り、法人調査の構造を変えるプロダクトの開発を始めた。

当初から一貫してメインターゲットとして考えていたのは金融のエンタープライズ企業だ。そのような企業にも使ってもらえるレベルのサービスを作ることができれば、他の業種や規模の企業に向けても展開しやすい。何より自身のバックグラウンドを踏まえても、そこに挑戦するからこそやる意味があると考えた。

当然ながら求められるサービスのレベルは高くなるため「バーンアウト(資金の枯渇)するんじゃないか」とヒヤヒヤしながら、約1年の期間をかけてプロトタイプを作り込んだ。