5.5億円調達で機能拡張、将来は投資・クレカ・銀行領域も狙う

よりよい顧客体験をつくろうと考えたときに、最初のビジネススキームをどうするかについては、見原氏らにも悩みはあったらしい。

「いきなり自らカード会社となってプリペイドカードを発行するという方法もありました。『Kyash』や『バンドルカード』、『B/43』といったサービスが採用している方法です。ただそうすると、プロダクト以外の部分、法律観点で資金決済法に基づいたライセンスを取るための体制整備や監視の仕組みなどに、プロダクトをつくる人の頭の半分がどうしても持って行かれてしまうんですよね。メルペイでの経験からもそれが分かっていたので、あえて提携カードという方式を採用して、ライセンスの部分はカード会社に借りるというかたちを取りました」(見原氏)

ベータ版および正式版のスタート時点でシャトルペイは、Mastercard(ブランド)と三菱UFJニコス(イシュア:カード発行会社)、共同印刷のグループ会社・TOMOWELL Payment Service(プロセッサー:決済代行業者。カード情報のAPI取得システム等を提供)の3社と提携。これにより、立ち上げ時は社員2名でサービス提供を実現したという。

シャトルは正式版リリースと同時に、シードラウンドで総額約5.5億円の資金調達を実施したことも明らかにしている。第三者割当増資の引受先は、ジェネシア・ベンチャーズ、Spiral Capital、NOW、個人投資家ら。調達資金はサービス開発とマーケティングに充てる。

直近では半年ほどで、子どもがお金を使う・ためる機能の拡張を予定している。具体的には1日ごとの利用可能額の設定や、複数の子どものカード発行と複数の親が見守りを行える機能の追加、また貯金まわりの機能では、親が子どもが頑張ってためた金額に対して、親払いで利息を付けることのできる機能などが想定されている。

また見原氏は、親子向けプリペイドカードの市場を700億円と見ているが、さらに隣接市場として、証券による投資領域やクレジットカード、銀行口座(機能)の提供も目指したい考えだ。

投資領域では子どもが投資の体験をできるプランや、親が教育資金の貯蓄ができるような機能拡張を検討していると見原氏はいう。クレジットカードについては、シャトルペイのサービスから卒業した子どもたちの「初めてのクレジットカード」として選択される位置づけを狙う。Greenlightのような親へのクレジットカード提供も考えたいという。