2012年設立、2015年にサービスを開始したイギリス発の「goHenry(ゴーヘンリー)」は、2021年11月現在、親子の合計で200万人を超えるユーザーを獲得。2014年設立で2017年にサービスをリリースした米「Greenlignt(グリーンライト)」は、2021年4月のシリーズDラウンド調達時点で評価額23億ドル(約2500億円・当時)のユニコーン企業である。そのほかオーストラリア発の「Spriggy(スプリギー)」やフランス拠点の「Pixpay(ピクスペイ)」なども、同様のサービスを提供している。

Greenlightでは、隣接市場へのサービス展開として親へのクレジットカード提供も始まっている。文脈としては「子どもの将来のために家計全体でお金を賢くやりくりする」という内容だ。ユーザーが買い物をすると最大で3%のポイントがたまり、ためたポイントを自動で子どもの将来のために運用することも可能となっている。

日本では、子ども向け金融教育サービス「manimo(マニモ)」の正式ローンチを今夏予定するMEME(ミーム)が、2月にGMOあおぞらネット銀行との業務提携を発表している。また三井住友銀行が2020年3月からサービスインした「かぞくのおさいふ」にも、家族それぞれにプリペイドカードを発行してアプリで見守りができる機能がある。

見原氏はmanimoを「商品カテゴリーが同じ競合」と捉えているが、「大きな違いは銀行口座との連携」だと説明する。シャトルペイはMastercardブランドのプリペイドカードのため、子どもの本人確認不要で使い始められるが、manimoではデビットカードを発行することになるので、親子ともに銀行口座の開設が必要となり、子どもも本人確認が必要となる。

また、三井住友銀行のかぞくのおさいふについては、発行手数料やアプリの利用料金は無料だが、「広く家族のお金のやり取りを便利にするという設計思想で、特別に子どもにフォーカスしたプロダクトではない」と見原氏は認識しているようだ。

いずれにせよ「海外でも同じカテゴリーで複数のプレーヤーが出て、それぞれが頑張ることでカテゴリーを盛り上げている」と見原氏。「ひと口に親子向けのサービスと言っても、さまざまな方向性があって、それぞれがターゲットとなる顧客に便利な機能を提供していって、市場を広げていけばよいと考えています」と話している。