同社が提供するKakeaiは、立場や経験の違いによって生じる「本音が言えない・聞けな い」という問題や、継続的な1on1を実行するにあたって生じる「スケジュール調整や事前準備の負担」、部下とのコミュニ ケーション改善へ向けた「具体的なアクションがわからない」という問題を解決する仕組みを備えたツールだ。

例えば、1on1のスケジュール調整に関してはOutlookやGoogleカレンダーといった既存のカレンダーツールと同期すれば、Kakeai内で手軽に調整することができる。

また、調整をする際、Kakeai独自の仕組みがある。それが1on1の依頼をする側が、話したいトピックを事前に選定するというもの。「今後のキャリア」「人間関係」「心身の状態」といった複数のトピックの中から、1on1で話したいものを選択する。これにより、1on1を設定された側が感じる「何を話すのかわからない」といった悩みを解決できる。

「仕組み自体は非常にシンプルですが、事前に話したいトピックを選ぶようにすることで、相手にはっきり言えない要望を伝えることができ、結果的に1on1の生産性を高めることができます」(本田氏)

そして1on1を実施した後は、部下が悩みが解決したかどうかを5段階で評価する。この評価内容はミーティング相手やシステム管理者にも見られない仕組みとなっているが、Kakeai内にデータとして溜まっていき、それによって上司側の苦手なトピックが何かも分かるという。こうしたデータをもとに、Kakeaiでは部下全体の1on1の傾向や、上司の得意や苦手を表すグラフを表示し、上司側が部下との関わり方のズレにいち早く気づき、素早く関わり方の調整に取り組むことができるとのこと。

「また1on1に関するナレッジを投稿する場所も用意されており、苦手なトピックに対しては他社のマネジャーが投稿したナレッジがレコメンドされます」(本田氏)。

Kakeaiを利用したユーザーの8割が「対話の質の向上」を感じているほか、「1on1における心理的・物理的な負担が減った」ことを感じているという。

今後はスモールチーム版のプロダクトも開発予定

当初、Kakeaiは「ピープルマネジメントツール」と銘打ってサービスを展開していたが、コロナ禍で上司と部下のコミュニケーションの難易度がそれまで以上に増したことをきっかけに、2020年春から「1on1」に特化した形でツールを提供することにした。

リモートワークの普及などに伴い、1on1の必要性を感じる企業が増えたことから、問い合わせ数も増えたほか、導入企業数も右肩上がりで増えていったという。