相談事は上司やメンターにするのが基本ですが、たとえば「妊娠してつわりがひどく、未婚男性の上長に言いづらい」や「育休はどのタイミングで取得するのがいいですか?」といった相談に個別に対応しています。上長が答えられればベストなのですが、経験豊富で労務知識もあるようなスーパーマネージャーはなかなかいませんからね。同時に、Slackなどのコミュニケーションサービスにおいて、個別ダイレクトメッセージ(DM)は非推奨としているのですが、こういった相談事に関しては「OKだよ」と伝えています。

「この人に相談したら何か解決の糸口が見つかるかも。そうでなくてもまず聞いてほしい」という安心感が必要です。「相談しても、配慮がなく結局自分の上長に話が行って終わるんだよな」というのは避けたいパターン。そうならないように、日々のコミュニケーションを意識しています。

HRBPに必要なのは”人事以外の経験”

私が思う「HRBPとして活躍するために大切なこと」は、“人事以外の経験”です。営業やマーケティングの経験でも、コードを書いた経験でも、極端な話、事業が失敗してしまった経験でもいい。オーナーシップを持って事業牽引に向き合った経験があれば、たとえば事業を成長させるとき、採用が難航することによってもたらされる影響の大きさを認識できますよね。両方の視点を行き来できることで立体的な見方ができるようになります。

ですから、私は組織担当HRの2人には週次の事業部定例会議に参加してもらっていますし、経営会議資料なども行間含め共有するようにしています。事業は常に進化していますから、細かい情報のチューニングは欠かせません。そうしたインプットから「先日キャッチアップしたんですけど、〇〇さんは今後のアサインでこういう方向に興味あるようですが、どう思いますか?」と事業部長に提案型のコミュニケーションが取れるHRBPは、すごく頼もしいと思います。

HRBPは事業成長のためであれば遠慮をしてはいけません。経営陣と同じ目線で戦えるよう、HR関連はもちろんのこと、事業についても自ら積極的にキャッチアップできていることが大切なのではないでしょうか。こうした動きや考え方が増えていくことで、人事と事業がより一体的になり、スタートアップの成功確率を高めていきたいですね。