本連載は元メルカリ・現LayerXでHRを担い、スタートアップにおける人事採用経験が豊富な石黒卓弥氏が自身の“採用論”について語っていきます。第4回目は、人事部門におけるHRBP(HRビジネスパートナー)というロール、働き方についてです。
日本では組織人事、戦略人事といった形で紹介されるケースが多い「HRBP」。最近、耳にする機会が増えていると感じる人も多いのではないでしょうか。その理由としては、HRの観点から「事業成長のために」組織に対して異動や評価のオペレーションをプロアクティブに提言し、実行していく役割が必要になってきているからだと考えます。(事業部内にHRBPを設置するケースもありますが、今回はわかりやすくHRと事業の部門を分けるかたちで書き進めます)
「サービスを成長させるためのHR」という考え方が少しずつ定着し、たとえば「あの人はマネージャーよりもプレーヤーの方が貢献できるのではないか」「外からこういう人を採用した方がいいのではないか」といった提案・支援がHRに求められていることが背景にあります。そこで今回は、スタートアップにおけるHRBPについて考えていきたいと思います。
HRBPとは、組織における“ミニCHRO”
まず、HRBPにはどのような役割が期待されているのでしょうか。
簡単にいうと、CEOにとってのCHRO(最高人事責任者)のような役割が、各事業部におけるHRBPです。プロダクトやマーケティングなどを統括する事業部長やプロダクトマネージャーを“ミニCEO”とするのなら、採用、配置、教育、評価、労務対応などを担うHRBPは“ミニCHRO”とも言えるかもしれません。事業成長をHRの側面から推進していく存在です。