サム:それで、いつ行けるんですか。

イーロン:今のところ、自立した火星コロニーを成功させる方法はあると確信しています。数年前までは、成功する可能性があるかどうかすら分からなかったのですが、今は可能だと確信しています。火星にある程度の人数を送るということは、10年程度で達成できる可能性があると思います。ひょっとすると、もっと早いかもしれません。その間にSpaceXが死なないように、そして私が死なないように、あるいは私が死んでもそれを継続する人が引き継げるようにしなければなりません。

サム:最初の打ち上げに行くべきではないですね。

イーロン:その通りです。どうせ最初の打ち上げはロボットによるものとなるでしょう。

サム:インターネットの遅延がなければ行きたいですね。

イーロン:遅延はかなり大きいでしょうね。火星は太陽からおよそ12光分、地球は8光分です。ですから、火星に最も近づくと4光分、最も遠いと20光分の距離になります。太陽越しには通信できないので、もう少し遠くなるでしょう。

AI技術の可能性と脅威

サム:本当に重要な課題といえば、AIです。あなたはAIについて発言してきましたが、AIのポジティブな未来はどのようなもので、どうすればそこにたどり着けるのでしょうか。

イーロン:私が強調したいのは、これは私の主張ではなく、あくまでも予測です。他の誰かがより良いアプローチや結果を思いつくかもしれませんが、私が思いつく最善の選択肢は、AIの民主化を達成すること。つまり、1つの企業や少数の個人グループが高度なAI技術を支配することがないようにすることです

邪悪な独裁者などにAIが奪われてしまう可能性もあります。ある国は諜報機関を送り込み、AIを盗んで支配権を得るかもしれません。邪悪な独裁者が強力なAIを手に入れた場合、世界は非常に不安定な状況になると思います。

AIが自分の意志を持つようになることが危険なのではなく、誰かがそれを悪用したり、悪用するつもりがなくても、誰かがそのAIを奪って悪い方向に利用したりすることが懸念されるのです。これはかなり危険です。

AIと人間の“共生体”とは

イーロン:私はAI技術を民主化し、広く利用できるようにしなければならないと考えています。私や他のチームメンバーがOpenAI(人工知能について研究する非営利団体)を作ったのは、AI技術が一部の人の手に集中しないよう、普及させるためなのです。しかし、もちろんそれは、大脳皮質への広帯域インターフェースの解決と組み合わされる必要があります。