サム:人間は遅い。

イーロン:人間が遅いのはその通りですが、私たちの脳にはすでに大脳皮質と大脳辺縁系がある状態なのです。大脳辺縁系は原始脳で、本能のようなものをつかさどります。そして大脳皮質は、脳の上部にある思考する部分です。この2つは非常によく連動しているように見えます。意見が合わない時もありますが。

サム:だいたい、うまく機能していますね。

イーロン:大脳皮質をなくしたい、大脳辺縁系をなくしたいと思う人は、めったにいませんね。

サム:その通り。

イーロン:大脳皮質とデジタル拡張の神経接続を改善することで 、AIと効果的に融合することができます。これはすでに存在していますが、帯域幅の問題があるだけです。そして、AIと人間の共生体が普及すれば、欲しい人は誰でも手に入れることができ、制御の問題も解決します。私たちは、邪悪な独裁者やAIの暴走を心配する必要がありません。なぜなら、私たちが集合的にAIになるからです。それが、私が考えるベストな結果です。

OpenAIは非営利団体として構成されていますが、多くの非営利団体は、危機感を持ちません。OpenAIは、みんながミッションを信じているので、危機感を持つ必要がないのです。それは重要なことであり、将来的な実害のリスクを最小化することだと思います。私は、みんながやっていることと才能のレベルにとても感銘を受けています。そして私たちは常に、このミッションを信じる素晴らしい仲間を探しています。

多種多様な領域に挑むマスク氏の「時間の過ごし方」

サム:では最後にもう少しだけ質問を。毎日をどのように過ごしていますか。何に一番時間を割いていますか。

イーロン:SpaceXとTeslaの間でほとんど分割されていて、毎週の一部をOpenAIで過ごすようにしています。ですから、基本的にほとんどの週は半日をOpenAIで過ごし、平日もOpenAIの用事が入っています。でもそれ以外は、SpaceXとTeslaです。

サム:SpaceXやTeslaにいるときは何をしているのですか。そこでの時間はどのようなものですか。

イーロン:いい質問ですね。多くの人は、私がメディアやビジネスのことに多くの時間を費やしているに違いないと思っているようですが、実は私の時間のほとんどすべて、8割はエンジニアリングとデザインに費やされています。つまり、次世代製品の開発ですね。

サム:覚えていないかもしれませんが、何年も前に、あなたは私をSpaceXのツアーに連れて行ってくれましたね。最も印象的だったのは、あなたがロケットの細部やそこに投入されるエンジニアリングの一つひとつを知り尽くしていたことです。そのことを理解している人はあまりいないと思います。