また、Instagramには認知後の受け皿としての役割もある。バズこそ起こりにくいものの、TikTokやTwitterでバズが起こった情報を、あとからInstagramでハッシュタグ検索をしたり、ホームページとしての役割を持っているブランドの公式アカウントで商品を閲覧するというように、ユーザーが商品の情報を精査するのにも利用される。

YouTubeは情報密度が濃く、比較検討に強い

Instagramよりもさらに詳細に商品情報を伝える役割にあるのがYouTubeだ。長尺かつ情報量の多いフォーマットである動画で商品について解説しているので、得られる情報の密度が他のSNSと比べて濃い。そのため、興味のある商品に対する理解を深めたり、商品を比較検討したりしやすいというメリットがある。

このようにZ世代は、商品の認知からその購買に至る各フェーズであらゆるSNSを使いこなし、スピード感を持って消費行動をとっている。

商品のバズが起きてから購買に至るまでのプロセス

では、Z世代は具体的にどのように消費行動に至るのだろうか。実際の商品のSNSプロモーション観点で解説していく。

2022年上半期にSNSで大人気となり“バズコスメ“(SNSで人気に火がつき、品薄状態が続くコスメ商品のこと)としても注目を集めた、TIRTIRの「MASK FIT CUSHION(マスクフィットクッション)」は、マスクにファンデーションがつかないことで人気を集めた。まず2022年2月頃、美容系TikTokerの投稿を筆頭にTikTokからジワジワと認知が拡大。その後はインフルエンサーがYouTubeやInstagramなどで紹介してさらに話題となり、最後にはそんなコスメ動画の切り抜きとテキストによる解説がTwitterに拡散するという流れで、大ヒットにつながった。

@kapo_025 TIRTIR種類別紹介❗️TIRTIRクッションファンデを買う時の参考に是非〓赤が個人的におすすめ〓!#美容#コスメ#種類別紹介 ♬ オリジナル楽曲 _brass - MOS

また、Instagramには「おすすめコスメまとめ」のような言葉とともに、話題の商品が雑誌のようにひとまとめにした投稿がアップされることで、「人気がある」「みんなが買っている」という信頼度を集め、情報の精度が上がっていった。最終的には、実際に使用した人たちのリアルな口コミがTwitterに流れ、そこであらためて「自分に合うのか」という判断をし、購買の意思決定に繋がった──認知から購買までのそれぞれのフェーズで、それぞれの役割を担うSNSが機能した結果とも言える。

もちろんZ世代にヒットした商品のすべてがこのような消費行動をたどっているわけではない。だが、認知から購買に至るまで、日常的に触れているさまざまなSNSが行動に影響を与えているのは間違いない。