渡辺:まさしくそれ(アプリレイヤーとプラットフォームレイヤーが組んだ世界展開)はAstarとしてもやりたいことです。

Astarはまだ日本の暗号資産取引所に上場していません。まだ日本の外でだけ戦っている状況です。今は(海外の大手取引所である)CoinbaseやBinanceや(ブロックチェーン特化の米VCである)Polychain Capital、Web3という言葉を提唱したギャビン・ウッド氏(EthereumおよびPolkadotの創設者)などにも出資者として入ってもらっていますが、やはり日本のモメンタム、日本のプロジェクトとグローバルの架け橋になりたいというのは僕たちも同じです。

いくら良いプロトコルを作っても、その上に乗ってくるアプリケーションの数が多くないと始まりませんし、そのアプリケーションを開発する人たちに出資するVCもいないといけません。もっと言えばネットワークを立ててくれるマイナー(採掘者)などもいないとエコシステムとして回りません。このエコシステムの確立こそが競争力になるので、日本の(DApps開発)事業者やVC、大企業まで、いろんな方々と連合を組んで、グローバルでチャレンジをしたい。こんなグローバルなチャレンジは、日本ではなかなかできてこなかったとも思います。Astarという社名も「A Star」、つまり世界の星になりたいという思いから命名しました。

高宮:今の発言でも垣間見られるんですけれども、渡辺さんは未来志向ですよね。今のWeb3のビジネスを見ると、クリプト古参勢(古くから暗号資産分野に興味を持っているユーザー)だったり、投機やお小遣い稼ぎがニーズのユーザー、つまり社会全体からするとある意味小さな母集団をターゲットとしてしまっているサービスも少なくありません。

ですが渡辺さんはエコシステムを作って、どう普通の人や社会全体を(Web3で)変えていくのかという、マスマーケットを見ていると思います。その視点こそがWeb3の本命になるのではないのではないでしょうか。アーリーアダプターのためだけではなく、世の中を捉え、何をするかを逆算して動いているように感じます。

渡辺:その点は高宮さんと似ているのかも知れません。僕は政治家の方々などに呼んでいただいて、Web3の話をしたりします。その際、コアなWeb3コミュニティの方々からは、「Web3って反国家的な思想から始まっているのに、なぜ政治家と会っているんだ」と言われたこともあります。