一方で、「コンセプトがWeb3で、実装がWeb2」というものはすでにあると思っています。例えば(ゲームプレイのライブ配信アプリの)「Mirrativ(ミラティブ)」などはそうではないでしょうか。VRアバターがあり、「配信to Earn(配信で稼ぐ)」という機能を備え、さらに提携する外部ゲームのアイテムをミラティブ内でやりとして、ゲームに持ち越すことができます。Web3のコンセプトで考えられうる価値をWeb2で実装してるとも言えます。今後、それをより効率よく実装する、よりユーザーの価値を増幅するために、Web3、ブロックチェーンを使っての実装に変えていくということはあるかもしれません。

一方でコンセプトがWeb2で実装をWeb3にすると、長く解決できなかった課題を解決できるようなこともあると思います。例えば書籍の中古流通では、作者や出版社に売り上げがバックされないという話や、電子書籍は二次流通できないといった話があります。そこにブロックチェーンを入れれば、スマートコントラクトによって二次流通のクリエーターフィーを権利者にバックすることが実現する話だってあります。それは、Web2のコンセプトをWeb3で実装している訳です。

そういったWeb2xWeb3の領域にチャレンジしていく中で、今は想像もできないような新しいブロックチェーンのユースケースや価値が見えてきて、本命の「コンセプトがWeb3で実装もWeb3」のサービスが生まれてくるのではないでしょうか。

【GCP高宮×Astar渡辺】日本のWeb3スタートアップが“小作人”にならないための戦い方(後編)
 

渡辺:ソーシャルメディアやSNSが出てくると、マスに近づくんじゃないかなと考えています。例えばコミュニケーションの量や貢献度によって、トークンが自動的に配られるSNSが生まれるとか。もちろんどういうものか分かりませんが、こういうDAppsがゲームチェンジャーにもなり得ると思います。

一方で、ブロックチェーンを使うのはまだまだ高い、遅い、わかりづらいとも言われており、心理的なハードルもまだまだあると思っています。プロトコルを作っている身としては、そういったことを解決していきたいと思っています。やはり「安い」「早い」で使いやすくなってきて、ブロックチェーンを使おうが既存のサーバーを使おうがパフォーマンスが変わらなくなり、新しいSNSなどが出てくれば、マスアダプションはあり得ると思います。

──たとえばウォレットアプリ1つとっても、「英語だからよくわからない」というようなユーザー層はいます。日本語化も含めて、Web3アプリケーションの普及要件をどう見ていますか。