高宮:UI・UXの話で言えば、日本語化は「差別化」につながるものではなく「必要要件」だと思っています。あと、ユーザーから見れば、チェーン間が競争している状況です(編集注:Web3ではプラットフォーム、つまり各ブロックチェーンの役割が大きいため、各プラットフォームのコミュニティが乱立している)。

ネットワークがバラバラでつながっていないのは不便でしかありません。渡辺さんのおっしゃっていた「1つのネットワーク」としてつながっていて、汎用性があった方がいいんです。そういう意味では、AstarはPolkadotを通して、Ethereumなどあらゆるブロックチェーンにつながるという世界観のインフラを作っていることが重要です。あるトークンを買いたかったらネットワークをスイッチして、別のブロックチェーンにつなぎ直して……ということをユーザーがやらないといけないままでは、誰もが使うものにはなるのは難しいと思います。

渡辺さんは「マスアダプション」というキーワードを掲げています。Astarについても、立ち上げ時から「すべてのブロックチェーンチェーンにつないでいこう」と言っていますが、それがマスアダプションにつながるというのは、おっしゃる通りだと思います。

渡辺:今のブロックチェーンのことを本来の(クモの巣から転じて、張り巡らされているという)意味での「Web」とは言わないと思うんです。ビットコインもWebじゃないと思うのです。「Web3」と言うからには、裏側のところが整理されているべきだと思います。今のインターネットのアーキテクチャーを見るに、「いろんなブロックチェーンをつなぐ」ということは必要不可欠だと思います。

高宮:絶対に最後はどこかの1つのスタンダードなプラットフォームに統一されると思います。それは、根っこの部分では分散したブロックチェーンであるものが、どこかを入口にして全部つながるということかも知れません。はたまたどこか1つのブロックチェーンが覇権を握るのかも知りません。ですが、統一されないとインフラとしては役に立たないと思います。特定の施設だけにつながっていたARPANET(60年代に整備された米国の軍用コンピューターネットワーク)がインターネットに進化したように、そんな世界は絶対やってくると思います。

エコシステムの世界対決に向けた競争力がないと、日本のスタートアップは“小作人”になってしまう

──GCPとAstarによる取り組みを通じて、日本のWeb3スタートアップにどんなチャンスがあると考えていますか。