先に挙げた米Flexportなどは、物流だけではなく、関税立て替えなどのファイナンス領域やカーボンニュートラルなどにも取り組み始めている。

「僕らもいずれは(貿易にまつわる)ファイナンス領域にも染み出していければと考えています」(佐藤氏)

プラットフォーム「Any Cargo」とデジタル通関でサービス領域を拡充

Shippioは9月28日、総額16.5億円の資金調達実施を発表した。シリーズBラウンドのこの調達は、第三者割当増資と融資等によるもの。出資には既存投資家のデライト・ベンチャーズ、環境エネルギー投資、ソニーベンチャーズ、アンカー・シップ・パートナーズのほか、新規投資家にDNX Ventures、Spiral Innovation Partners、東京海上日動火災保険、みずほキャピタル、あおぞら企業投資が加わった。

Shippioでは今後、これまでのデジタルフォワーディング事業に加えて、国際物流業務に利用できるプラットフォームの提供とデジタル通関事業の提供を目指し、仮説検証を進めていく。

新サービス「Any Cargo」は今まで、Shippioがデジタルフォワーディングサービスを利用する顧客に対して提供してきたクラウドサービスによる貨物のトラッキングや案件管理を、他社のフォワーディング事業者が扱う案件に対しても利用可能にするというものだ。自社サービス内のクラウドシステムをプラットフォームとして他社案件にも開放したかたちになる。

「顧客が100本のコンテナのうち、30本はShippioのフォワーディングを利用し、残りは従来の取引先を利用することはよくあるのですが、そうするとアナログなオペレーションが残ってしまいます。Shippioを物流事業者として使っていない貨物もクラウド上で効率的に管理できるようにするというのがAny Cargoの狙いです」(佐藤氏)

機能としては、貨物情報をExcelやCSVデータで取り込み、ダッシュボードでShippio以外の案件も一元管理できるというもの。混乱が続いて運航が遅れやすくなっている船舶の航海状況・スケジュール(本船動静)のトラッキングについても、自動で行える。Shippioがオペレーションを担っている貨物もそうでない貨物も一括して状況が確認できるという点がこのサービスのキモとなる。

Any CargoはShippioをフォワーダーとして使っている場合は無料で利用できる。それ以外の場合、SaaSとしてこのプロダクトを単体で利用する顧客には、有料課金での提供となる。現在はベータ版としてサービスを提供しており、正式リリースは年内を予定している。将来的には他のフォワーダー向けにAPIの実装なども考えていきたいということだ。